山本記者
それでは次に、女性活躍推進の取組についてお聞かせ願いたいのですが、吉川議員は小さなお子様を育てながら議員活動をされているとか。
吉川議員
はい。議員会館にベビーベッドを置いて。最初は待機児童でしたが、保育園に入れてからも、1日の活動内容によっては連れてきたりしています。東京農工大学では、府中・小金井の両キャンパスに学内保育所を設置されているとお聞きしました。本当に素晴らしい取組だと思います。
松永学長
女性研究者支援ということで、やはり一つに環境が大事だと考えています。これまでは、会社もそうですけど女性がやはり出産したときに辞めてしまうことが多かったと思うのです。それから出産のブランクがあると今度は研究が遅れてしまうのだけど、例えば、本学では、女性研究者が出産したときに、今度はそこにポスドク研究員を配置するのです。そうすることによって、本人は自宅で、ポスドク研究員と連絡を取りながら、要するに研究のブランクを作らせないようにしています。やはり、女性の研究者を育てるのは、それなりに結構力を入れてやらないとならないと思っています。そのお陰もあって、女性教員比率は全国平均を上回り、工学系教員に至っては平成26年度末のデータですが全国平均5.7%に対して12.1%と2倍以上となることができました。
有賀社長
企業に比べたら、女性にとっては研究職のほうが長く仕事のできる環境だと思いますね。そこへさらに、このようなサポートがあったら、それは好きな研究をずっと続けられると思いますね。
吉川議員
8月の末に女性版ダボス会議といわれている、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!)」が日本で開かれたのですが、まさにその際に総理大臣がいわゆるリケジョ(理工系女性)を育成し広げていくというようなことを、講演の中で明確に言われたのです。科学技術立国である日本において、理工系女性はもっと活躍をする場があるのではないか。その点でも、起業だとかあるいは技術革新とか、新たな分野の事業改革には、やはり女性の力が必要だと認識されていることで、東京農工大学は一番先頭を走っていらっしゃるなというような感じがしますね。
山本記者
若手人材についての取組についてはいかがですか?
松永学長
若手教員については、日本型テニュアトラック制度の先駆けとして平成18年から始めまして、5年間の任期の中で独立した研究室や資金を与えて、そこで成果を上げたならば、テニュア付与といって定年雇用にするものです。
有賀社長
こちらは本当にいい人材が集まっているようですね。科研費の新規採択率もかなり高いと聞いています。昔でしたら、研究室の卒業生をそのまま何となく雇用していたイメージですが、最近は、学外出身者の方がかなり多いのですか?
松永学長
国際公募により、高い募集倍率による研究者の採用を実現しています。学外出身者も多くて優秀な人材ばかりです。ノーベル賞受賞者でも国立大学を出て、民間に行ってと、中村修二先生、大村智先生もそうなのです。だから、私は一つの大学にしか行かない、東京大学や京都大学しか行かないとか、それだけではなくて、やはりいろいろな所できちんと自分の意志に従って動いている人が、最終的には成果は上がっていると感じますね。