学内の動き T行事・イベント
◎ 平成27年度 公開講座を開催
<親子で知的冒険「健康な新しい人間の生き方講座〜生きている自分、人間である自分を知る」>
 8月1日(土)および8日(土)、小金井キャンパスにおいて、工学部有機材料化学科・材料健康科学寄附講座の主催により、公開講座「親子で知的冒険『健康な新しい人間の生き方講座〜生きている自分、人間である自分を知る』」が開催され、小中高生およびその保護者の計28名が参加しました。
 プログラムの内容は、1日目に跡見順子工学府客員教授による講義および心筋細胞の顕微鏡観察が行われ、2日目に跡見友章帝京科学大学講師および長谷川克也JAXA研究員による講義およびDNAの抽出・観察が行われました。
 両日とも座学だけではなく、顕微鏡観察、ストレッチ実習、体力測定など変化に富んだメニューが組まれたことにより、参加者は様々な角度から自身の体と心についての理解を深めていました。特に小中高生にとっては、はじめて見る生きた細胞や自らの手で抽出したDNAを実際に目にすることができ、驚きと共に深い感動を覚えた様子でした。
 小中高生にはやや難しい内容もありましたが、「親子で学ぶ」というテーマのもと、親子で教え合う姿も見られました。また、参加者の中には、細胞やDNAの研究方法を具体的に質問する頼もしい高校生もおり、未来の研究者の誕生を期待させる講座となりました。
 
 
<子供科学教室「MIRAIの電池、燃料電池を理解しよう」>
 8月22日(土)、科学博物館において、近隣の小・中学生を対象とした子供科学教室「MIRAIの電池、燃料電池を理解しよう」が開催され、34名(保護者を含む)が参加しました。
 最初に講師の村上尚工学研究院准教授から、水の電気分解や燃料電池の仕組についての説明および従来の自動車と最新の燃料電池自動車の仕組の違い等の説明が行われました。
 続いて行われた実験では、参加者は水の電気分解によって酸素より水素が多く出ることを学んだほか、装置を用いて作り出した電気によってプロペラを回したり、ミニカーの燃料電池自動車の走行実験を行いました。
 また、再び行われた講義では燃料電池の歴史や特性等について学び、2000年以上前から燃料電池に相当するものが発見されていたことや、燃料電池は二酸化炭素を出さない地球環境にやさしいエネルギーであることを知ると、参加者は驚きと共に感心し、大変有意義な講座となりました。
 
実験装置を使ってプロペラやミニカーを動かしている様子 水の電気分解を行う実験
 
<子ども樹木博士>
 8月29日(土)、府中キャンパスにおいて、小中学生とその保護者を対象とした公開講座「子ども樹木博士」が開催され、81名(保護者を含む)が参加しました。
 本講座は、戸田浩人農学研究院教授、小池伸介農学研究院講師、渡辺直明農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター(FSセンター)自然環境分野長が担当し、子どもたちに身近な自然に興味を持ってもらうことを目的として、17年間継続して開催されています。
 当日は、子供たちが学年や経験によって初級、中級、上級の小グループに分かれ、担当学生の案内のもと、府中キャンパス内を散策しながら、身近な樹木の名前、性質、用途などを学びました。
 その後教室に戻り、屋外で見た樹木の葉の見分け方を中心に復習し、試験室に移動して段位テストに臨みました。段位テストは、標本を用いて樹木名を当てるもので、10種正解で初段、以降10種増ごとに段位を増やして称号を与えるものです。講座の開催に先立つ8月24日から府中キャンパス内の主な樹木に名札をつけていたことにより、近隣の参加者は事前の予習ができており、初めての参加にもかかわらず高段位を獲得する子どももいました。また、今年度の最高段位はこれまで何度も参加している小学5年生の2名で、上級115問全問正解の十一段でした。
 終了後のアンケートでは、「丁寧に説明してもらい楽しかった」などの感想が寄せられました。また、さらに教わりたいこととして、「木の病気のこと」、「木の使い方」、「キノコや虫のこと」などがあり、本講座をとおして、子供たちが自然に対する興味の領域を広げていることが再確認できました。
 
学生スタッフの説明を聞きながら樹木名を覚える 段位試験の様子
 
<遺伝子を操る -遺伝子操作の現状と未来->
 8月29日(土)、小金井キャンパスBASE本館において、公開講座「遺伝子を操る -遺伝子操作の現状と未来-」が開催され、計16名が参加しました。
 当日は、川合伸也農学研究院准教授による「遺伝子組換えって何? 遺伝子の水平移動 実はヒトも遺伝子組換えされていた」と題する講演および、梅澤泰史農学研究院准教授による「これからの遺伝子組換え技術について」と題する講演が行われました。
 川合准教授の講演では、遺伝子組換え技術の原理や遺伝子組換え作物の利用状況などが丁寧に説明され、梅澤准教授の講演では、ゲノム編集技術などの新しい技術の原理に関する話に続き、それらによって作り出された生物の管理の難しさや法制面での今後の課題が述べられました。
 講演終了後の質疑応答では、参加者から、遺伝子組換え作物を原料とした食品や飼料との付き合い方に戸惑う声も聞かれましたが、川合准教授は「遺伝子組換え技術は食品や飼料だけでなく、医薬品の開発においても世界で広く利用されており、原理を良く理解した上で上手に付き合っていくことが大切だ」と述べられ、参加した中高生は熱心に聞き入っていました。
 
<遺伝子工学実習講座(1)DNAコース>
 9月3日(木)〜4日(金)、府中キャンパス学術研究支援総合センター遺伝子実験施設において、公開講座「遺伝子工学実習講座(1)DNAコース」が開催されました。
 本講座は初心者を対象に講義と実習をとおして遺伝子工学の基礎を学ぶことを目的としており、これまで毎年実施され、社会人対象のリカレント教育の場として高い評価を得ています。受講者は大学院生や民間企業の研究開発担当者が多く、全国から13名が参加しました。
 実習では、遺伝子実験施設の専任教員の指導のもと、制限酵素で断片化されたラムダファージDNAを含むプラスミドライブラリー由来の大腸菌コロニーを観察し、次にコロニーの菌体からDNAを抽出し、PCR法でクローニングされているDNA断片を特定する実験等を行いました。
 受講者の中には、DNAを扱う実験の必要性を感じながらも、これまでその手法を学ぶ機会に恵まれなかった方が多く、本講座の2日間で基本技術をしっかりと体験できたことに満足した様子でした。受講者がそれぞれの職場で、遺伝子組換え技術を生かせるものと思われます。
 
 
<子供科学教室「カイコの繭から糸を繰ってみよう」>
 9月5日(土)、東京農工大学科学博物館において、子供科学教室「カイコの繭から糸を繰ってみよう」が開催され、35名(保護者を含む)が参加しました。  最初に、講師の齊藤有里加特任助教から、プログラム全般について説明があり、館内の展示物の見学をとおして、繭には多くの種類があることや、糸を引くためのさまざまな道具・器械があることなどを学びました。
 その後、講師による糸繰り実演を参考にしながら、参加者全員が座繰り器を使用して糸繰りを体験しました。
 次にペットボトルなどで作成した糸繰り器での実験に移りました。最初は糸を糸繰り器にからめることができない参加者や、糸繰り器が上手く回らず苦労する参加者もいましたが、次第に慣れて、最後は全員ができるようになりました。
 参加した子どもたちは、小さな繭から尽きることなく糸が取り出されることに驚き、カイコや繭への関心をより深めたようでした。
 
 
←前の記事 次の記事→

560号目次へ戻る