学内の動き T行事・イベント
◎ 平成23年度 公開講座を開催
<小学生を対象とした稲作体験>
 平成23年5月26日(木)〜10月17日(月)、農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センターフィールドミュージアム本町において、平成23年度 公開講座「小学生を対象とした稲作体験」を実施しました。
 府中市立第三小学校の5年生120人による5月下旬の田植えの体験学習では、田んぼの中に横1列に並んで植えるところ、最初は1列に並ぶことすら容易ではなく大騒ぎでしたが、しばらくするとほとんどの子供が慣れ、植え終わる頃には「もっと植えたい」という多くの声があがりました。
 その後、小学生たちが植えたコシヒカリは順調に生育し、8月上旬に出穂しましたが、9月から10月にかけて大型の台風の襲来や大雨が続き、残念ながら完全に倒伏してしまいました。このため、この田んぼでの稲刈り体験を諦め、別の田んぼで10月17日に稲刈りの体験学習を行いました。
 稲刈りを体験するのは初めての子供ばかりのため、作業はスム−ズにはいきませんでしたが、何とか一定の株を刈取り、コンバインに運んで、脱穀までの作業を体験することができ、多くの子供たちの満足げな表情から、稲刈りを十分に実感できたことがうかがえました。また、稲刈り以外にもカエルや虫を追いかけて沢山捕まえる子もおり、生き物と触れ合える貴重な機会にもなりました。
 お土産として1人1株の稲を持ち帰りましたが、小学校の授業の中で、乾燥、脱粒、籾摺り、精米といった一連の作業を全て昔ながらの方法で体験したとのことです。なお、刈取って脱穀した籾は、精米した後に同小学校に届けられ、子供たちが試食しました。
 
 
<子供たちと動物たちのふれあい授業>
 本講座は、たくさんの子どもたちが動物に親しみ、興味を持ち、そして動物について正しく理解することを目的に、学内で飼育されているウシ、ヤギ、ウマ、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモット、ニワトリ、ウズラ、カメなど、多彩な動物を用いて毎年開催されているもので、本年度は主に近隣の小学生と特別支援学校生を対象に実施し、6月3日から2月8日の全期間を通じて約1200名の参加がありました。
 受け入れについては、学校のクラス単位、あるいは学年単位で行い、事前に担任の先生方と内容について相談し、学生ボランティアの協力を得て行いました。
 昨年度は口蹄疫の影響から行えなかったウシ、ヤギについても今年は再開し、ただふれあうのではなく、学年に応じて、同じ生物としていたわりの心を持つことや、身体の造りがヒトとどう違うのかなどをクイズ形式などを織り交ぜ、楽しく学べるよう工夫しました。特に今年は子ヤギがたくさん生まれ、人工保育を行ったことから、ほ乳瓶で子ヤギにミルクを与えることも体験してもらうことができました。
 また、夏には地域の子ども会からの参加があり、FSセンターの生乳を使ったアイスクリーム作りを子どもたち自らが行い、その味に満面の笑みを浮かべていました。
 本講座は本学学生にとっても貴重な体験の場となり、今後もより充実した内容で継続して開催されることが期待されます。
 
<リフレッシュ気功・呼吸法>
 10月1日(土)および2日(日)の2日間にわたり、小金井キャンパスにおいて、公開講座「リフレッシュ気功・呼吸法」が開催され、計16名の参加がありました。
 本講座は、基礎的な呼吸循環系の講義および、身体に関する理論の説明を行った上で、基本となる呼吸法やリラックスを得る緩めの体操、気感を得るための実習等を行なうもので、受講者は比較的高齢の方が多く、またリピーターが多いのも特徴です。
 初日は、腹式呼吸、逆腹式呼吸、長い呼息呼吸など呼吸法の実践や、緩やかで力を抜く体操などの実習を行いました。2日目になると参加者の多くは慣れた様子で、動作も呼吸もスムーズになりました。さらにお互いに肩等に手を当て、他人の気を感じたり、自分の体を捉えるといった普段とは異なる体験によって、新鮮な感動を味わっていました。また、手の甲をお互いにあわせて、気を送り合う「対気」の実習では、相手の気を感じて、気の持つパワーに驚く場面もありました。
 2日間を通じて、ストレス解消や心身のリラックスのためには、呼吸が非常に大切であることを実感することのできた講座となりました。
 
<健康スポーツ講座「テニス・応用編:ダブルスゲームを楽しもう」>
 10月22日〜12月3日の土曜日の全4回、小金井キャンパスにおいて、健康スポーツ講座「テニス・応用編:ダブルスゲームを楽しもう」が開催されました。
 本講座は、単なる技術の習得、向上のみならず、マナーのよいプレイヤーを目指し、また参加者同士の交流の場となることを目的に実施されており、今年度は東日本大震災やこれにともなう計画停電等の影響により変則的な開催となり、また、周知等が遅れ、例年より少ない11名の参加となりましたが、受講者が少ない分、密度の濃い講座内容となりました。
 実技面では、普段は行われないシングルスゲームや基本的な技術練習が行われ、さらにダブルスゲームでは、ペアとの連携やポシショニングに重点を置きながら、試合形式で様々なペアリングを楽しみながら行われました。
 本講座に初めて参加した受講者は、マンツーマンでの指導によって貴重な経験を積むことができ、普段、ダブルスゲームを楽しんでいる経験者にとっても新たに得られた技術、知識に富む機会となり、好評のうちに講座は修了しました。
 
<フレッシュマンのためのポリマー講座>
 1月17日(火)、小金井キャンパスにおいて、公開講座「フレッシュマンのためのポリマー講座」が開催されました。
 本講座は、企業の研究開発・設計・製造現場で活躍する若手研究・技術者を対象に、もう一度ポリマーの基礎を学び直したいというニーズに応えるとともに、社会人ドクターとして学べる本学の環境をアピールするために行われ、当日の参加者は化学・材料系メーカーに勤務する本学卒業生を中心に、市役所勤務の方など幅広く、講師も含め総勢20名での実施となりました。
 内容は大きく基礎編と応用編に別れ、基礎編では事前の調査で要望の多かったレオロジーの基礎講座に加え、ポリマーの合成・物性に関する基礎講座が実施されました。また、応用編として、ポリマーの分析法、生体医用、エレクトロニクスへの応用に係わる先端技術に関する講義が行われました。講義は本学の専任教員によって行われ、参加者は5時間にわたり、ノートをとったり、資料に書き込みを入れたりしながら、熱心に耳を傾けていました。
 参加者の中には、就職してはじめて自分の理解が不十分であることに気づいたという方が多く、本講座は有意義であったとの声を多く聞くことができました。一方で、特定のトピックの時間を長くとってほしいとの意見もあり、今後の内容に活かされることが期待されます。
 講師、参加者ともに有意義な時間を過ごし、将来、参加者が社会人ドクターとして本学に再び戻ってきてくれることを期待しつつ、閉講しました。
 
<小動物臨床獣医師養成講座 基礎U>
 1月22日(日)および29日(日)、府中キャンパス農学部附属動物医療センターにおいて、平成23年度公開講座「小動物臨床獣医師養成講座 基礎U『春の予防シーズン徹底対策講座 開幕前に準備万端!:ワクチン・フィラリア・狂犬病そして寄生虫、プロとしての基礎知識』」が開催され、計7名の参加がありました。
 この講座は、「獣医師の卒後再教育プログラム アドバンス イン 農工大!」が主催し、リカレント教育による獣医師のスキルアップ・再就職支援を目的としており、その内容は臨床獣医学の基礎の習得に向けて、講義と実習の組み合わせにより、わかりやすく実践的なプログラムを実施し、毎回参加者から「次の講座もぜひ受講したい」との高い評価を得ています。
 また、本講座は、無料の託児サービスを実施することにより、(財)東京農工大学教育研究振興財団の援助を受け、育児中の獣医師にも参加しやすい環境を整えていることも特徴で、他に例を見ない本学オリジナルのものとして今後の展開が期待されています。
 詳細はホームページをご覧下さい。
 http://www.tuat.ac.jp/~manabi/

【今回のプログラム内容】
1月22日:「ワクチネーションとフィラリア予防」 大森啓太郎農学研究院助教
1月29日:「内外寄生虫への対応」 西藤公司農学研究院准教授
      「狂犬病予防、予防医療:診療するにあたり」小暮一雄所沢愛犬病院院長(埼玉獣医師会副会長)
 
 
<遺伝子操作アドバンスコース>
 1月25日(水)〜27日(金)、府中キャンパス学術研究支援総合センターの遺伝子実験施設において、公開講座「遺伝子操作アドバンスコース」が開催されました。
 本コースは、初心者を対象に実習を通じて遺伝子操作の基礎を学ぶもので、遺伝子実験施設の設置当初から公開講座として実施しており、関連の講義を含めて、遺伝子実験施設の専任教員が全てのプログラムを担当しています。参加者は大学教員や民間企業の研究開発担当者が多く、社会人を対象としたリカレント教育として評判が高いものです。
 実習では、専任教員から装置の使用方法が説明された後、実験操作について参加者同士で相談、確認しながら進められ、大腸菌を培養し組換えタンパク質の発現を誘導して、次に、回収した大腸菌から組換えタンパク質を精製し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により検出して、抗体との反応により目的のタンパク質であることを確認しました。
 今回は8名が受講しましたが、遺伝子実験施設で開催する公開講座のリピーターも多く、本公開講座に対する受講生の満足度の高さが窺えました。受講者も互いに顔見知りとなり、異分野間の情報ネットワークを通じて、各自の得意な分野を拡大するのに役立つことが期待されます。
 
 
 
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