◎ 技術経営研究科が中国ビジネス現地調査を実施

 9月17日(水)から24日(水)にかけて、技術経営研究科の在学生11名、修了生2名、教員6名、客員教員1名、計20名で構成された調査団が、
 1.中国における知的財産権問題の現状
 2.中国における企業活動およびリスクマネジメントの実態
 3.中国の大学におけるMOT教育、産学連携と起業の実態
の3点について調査を行うため、北京と大連を訪問しました。
 技術経営研究科では設立以来、経済発展が著しく、日本の産業界にとってますます重要になっている中国のビジネスリスクや知的財産問題についていち早く注目し、毎年夏休みを利用して学生を主体とする調査団を派遣しており、今年は3回目になります。
 出発前には、調査の目的と方法、中国の知的財産に関する法体系、訪問企業の概要、中国事情について学習するとともに、事前に訪問企業へ質問事項を提出する等、効率を上げ、的を絞るための事前準備を行いました。

 知的財産権問題の現状については、中国国家知識産権局、国営および民間の特許事務所を訪問し、現状や問題点、特許侵害や模倣品問題に対する中国政府の対応と取り組み状況や知的財産に関する問題が多発する背景について関係者から説明を受け、意見交換を行いました。また、8月1日に成立したばかりの「中国の独占禁止法」の背景や概要、中国へ進出している、あるいは進出しようとしている日本企業が注意しなければならない点について、多くの知見を得ることができました。
 また、企業活動およびリスクマネジメントの実態については、中国に進出している日系ソフトウェア企業、大手電気メーカの中国事業統括現地法人や、大連開発区に主な生産拠点をおく日系企業を訪問して中国ビジネスの実態を調査するとともに、日中合弁金型企業および中国国営企業から民営化した金型企業では、中国におけるものづくりレベルの推移や現状を把握することができました。特に、大連が海外における日本企業の一大拠点であるという印象を強く得ると同時に、外資系企業(特に日本企業)を積極的に誘致する前向きな姿勢に感心させられました。
 MOT教育、産学連携と起業の実態については、姉妹校である清華大学と大連理工大学を訪れ、担当者から研究開発の方針、産学連携の実態について説明を受けた後、研究施設や研修センターを見学し、中国の理工系大学の教育実態や、起業や産学連携に積極的に取り込む背景を知ることができました。特に今回は、大連理工大学機械学部の日本語強化クラスの学生および教員との意見・情報交換会を設け、お互いの趣味や夢、学生生活、勉強や課外活動、技術経営知識の必要性、MOT教育の重要性、企業経営について、幅広い話題で自由に議論し、新聞やニュースでは得られない情報を数多く得ることができました。

 8日間、会社、事務所、大学、政府機関など、毎日3、4箇所を訪れるというハードなスケジュールではありましたが、多くの知見を得て、収穫の多い有益な現地調査となりました。

<参加者から寄せられた感想>
日本企業、合弁企業、民営化企業、政府機関、特許事務所、大学というように熟慮されたアングルから訪問先がスケジュール化されており、実り多いプログラムであった。
普通では絶対に会えない人々に会って話ができたり、訪問できない企業にススッと入ることが出来る事の凄さを改めて実感した。
中国の経済が急激な勢いで巨大になっていることを実感し、驚いた。特に今後より一層日本との関係が深まるので知的財産管理の重要性を改めて理解し勉強になった。
中国の国内外での本当の競争はこれからだろう。中国側の変化に対応したビジネスモデルの再構築が日系企業にも求められていることを改めて確認した。
大連理工大学の学生さんとの交流会では、外国語である日本語で巧みに一生懸命、私達に語りかけてくれた。深く感動した。
まだまだ日本よりもガッツがある学生が残っており、見習わなければならないと思う部分があった。
今回、初めて中国に行ったが、これまで自分が持っていたイメージと大きく異なり、急速に発展している中国を目の当たりにして驚いた。
企業の方々や大学の先生、学生のみなさんの話を実際に聞くことによって、報道等では得られない生の中国の一端をかいま見たような気がする。やはり「百聞は一見に如かず」ということだと思う。
文化、習慣、考え方など大きく異なる日本と中国は、もう切っても切れない関係にある。交流を通じて、理解しあって、尊重しあって、そして勉強しあうのはとても重要であると改めて実感した。
最も気づかされたのは、MOTの良さであった。教授、社会人学生、学部上がりの学生、年代も違えば専門もさまざま、立場もさまざまな人たちが、同じ8日間を共有することで、年齢・専門・立場・性別関係なく交流できた中国現地調査はとてもすばらしかったと思うし、MOTだからこそ成立しうることだと実感した。
「行った者にしか解らない、行った分しか得られない感動」があった。
 
 
 
   
←前の記事〉                                              〈次の記事→

477号目次へ戻る