農学府福嶋司教授が植生学会で学会賞を受賞

 大学院共生科学技術研究院環境資源共生科学部門(自然環境保全学専攻)の福嶋司教授が、植生学会の学会賞を受賞し、10月7日(日)に岡山理科大学で開催された植生学会第12回大会において、授賞式が行なわれました。
 植生学会は、植生学の基礎的・応用的な進歩をはかるために1996年に設立された学会です。研究者や民間の技術者など600名以上が在籍しており、大学等における研究成果を自然保護や環境アセスメントの現場に反映させるため大きな役割を果たしています。学会賞は、植生学に関する業績によって特に優れた学術的貢献をなしたと認められた者に授与されるもので、福嶋教授は賞の創設以来2人目の受賞者となりました。
 福嶋教授は、学位論文においてブナ林の種組成と土壌の関連を明らかにしたのをはじめとして、1983年に本学着任後も一貫してブナ林の植生学的研究に取り組んでこられました。特に日本全国のブナ林の植物社会学的な調査資料を収集整理し、群落体系を完成させたことは、わが国の植生学にとって特筆すべき貢献といえます。また、韓国や中国をはじめ、ヨーロッパや西アジアのブナ林についても各地の研究者と協力して精力的な調査をおこない、世界における日本のブナ林の特性を明らかにしてきました。さらには、長期追跡調査にもとづくブナ林の更新研究や、その成果に基づいたブナ林再生の取り組みもおこなってきました。一方、日光の戦場ヶ原や、群馬県の玉原湿原などを対象とした、湿原の植生管理に関する研究にも力を注がれ、ここでも長期追跡調査の結果にもとづく具体的な植生管理方法の提案をされています。
 今回の受賞は、野外調査の結果にもとづいた植物群落の具体的な保護管理法を提案するという植生管理学の確立に大きく貢献してこられたことが、高く評価されたものです。なお、福嶋教授の研究成果は、近年、その編著書「植生管理学」にまとめられ、植生を学ぼうとする学生や、自然保護に関わる職種の人々にとっての手引書となっています。
 
 
  
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