◎ 技術経営研究科が中国でフィールドスタディーを実施

 技術経営研究科技術リスクマネジメント専攻(MOT)では、毎年、海外のフィールドスタディー(FS)を行っています。この海外FSの目的は、海外進出企業やベンチャー企業と産学官連携支援体制を現場の責任ある立場の方に直接お話をお聞きし、一緒に討議して実践的なリスク管理を学んでもらうことにあります。昨年に引き続き、今年も「中国ビジネスにおけるリスクとベネフィット」という主題で、8月22日(水)から29日(水)の8日間にわたり北京、蘇州、上海の3都市を回りました。今回は特に「中国ビジネスにおける知的財産管理の実態と今後のあり方」を課題テーマとして、中国政府特許関係所、特許事務所、日本企業(キャノン、花王、三菱)、日米合弁企業、サイエンスパーク、大学発ベンチャー企業、清華大学、上海交通大学、華東理工大学の産学官連携施設を訪問しました。
 今回参加したのは、学生7名(MOT学生5名、学部4年生1名、ポスドク1名)と教員7名(MOT教員4名、本学非常勤講師1名、工学府教員2名)の計14名でした。訪問前に田町のMOT教室で、今回の企画に協力して同行していただいた工学府の磯 守准教授と銭 衛華准教授から中国ビジネスとリスクについての講義とMOT鶴見 隆教授から中国の特許システムについての講義を受けてから出発しました。
 北京ではベンチャー企業の支援を行っている中関村国際孵化器有限公司やサイエンスパークの一部を訪問し、北京市内の大学を中心に市全域にわたり1000社以上の企業が積極的に産学官連携支援を行っている様子を調査しました。日本企業の佳能中国有限公司(キャノン)訪問では、コピー商品流通の実態とそれに対する対策について責任者から直接話を伺いました。根気強いコピー商品対策戦略の内容は、中国ビジネスの必須事項がたくさん含まれており大変参考になりました。今回は、知識財産代理有限公司も訪問し、中国における特許制度の事情を国家知識産権局の役人の方も交えて話を聞きました。
 蘇州では、日米出資のゲイツ・ニッタ伝動ベルト会社を訪問し技術流出防止策を伺い、上海では、三菱エレベーターと上海花王有限公司訪問、上海交通大学姉妹校調印式参加(同号学報掲載)と同大学内の上海模具技術研究所有限公司の産学連携会社の見学、華東理工大学訪問と忙しい日程でしたが多くの知見を得ることができました。上海花王では、コピー商品の実物を見ながら、真偽を見分ける特別なラベルの導入の話など自社商品のブランドを守るための対策の話を聞きました。詳しい内容は、MOT海外FSライブラリーVol.2、2007年版にまとめますのでご覧ください。
 
 
<上海花王にて>
  
     
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