◎  高大連携校対象「夏休み体験教室」

 7月25日(月)から8月25日(木)、小金井キャンパスにおいて高大連携推進高等学校の生徒を対象に「夏休み体験教室」を開催しました。各学科の講義を聴講することにより、教育内容の理解を深め、進路決定への主体的な取組みの促進を支援することを目的としており、工学部の7学科 10講座を開講しました。
 高大連携事業は、工学部が平成13年度から高等学校8校と協定を結び、主に夏の高校生体験教室の開講、出張講義、大学訪問等を実施してきました。平成16年度からは全学規模に引き上げられ、本学学長と関係高等学校42校の校長との間で協定を結び、調印を取り交わしました。平成17年度の連携校は46校となっています。
  
◇ 生命工学科  −バイオテクノロジーって何?− 
 生命工学科では、8月1日(月)〜3日(水)の3日間にわたって体験教室を実施いたしました。15名の募集に対し、45名もの参加者が集まり、様々なバイオテクノロジーの研究の最先端を紹介しました。
 
 今回の体験教室では教室での講義の後、実際に様々な実験サンプル、機器類にふれてもらいました。この体験教室をきっかけに、バイオテクノロジーの世界に興味を持ってもらえるとうれしいです。 
 
【体験テーマ】
  8月1日(月):遺伝子組み換え植物の現状、クローン植物の作成方法
    2日(火):ヒトのからだのしくみ、骨や歯の話
    3日(水):バイオセンサー・DNAセンサーなどについて
◇ 応用分子化学科  −応用化学の最前線− 
 8月2日(火)、3日(水)の2日間に渡って高校生対象の体験教室「応用化学の最前線」を開催し、11名の参加がありました。2日(火)の午後は学科紹介の後、体験授業2コマが行われ、3日(水)の午後は体験授業2コマが行われました。
 参加者は熱心に授業に取り組んでいました。

 2日(火)に行われた 「触媒の不思議」では、遷移金属化合物は何故触媒になるのか、このブラックボックスを基礎的な化学結合の概念を基に解説しました。次に行われた「身近な吸着の世界」では、家庭でよく用いられている乾燥剤や脱臭剤の多くは吸着現象を利用しており、吸着剤に用いられる材料と性質について解説し、材料の特性を活かした最近の家電への応用例について紹介しました。
 3日(水)に行われた 「甘さは砂糖の××倍 -食品工業と化学の話-」では、私たちの身の回りの食品と化学の関わりを、日本発の独自技術であるアスパルテーム、L-メントールの合成を取り上げて解説しました。また、「結晶を作って使う」では、身の回りで多く使われている現在社会の縁の下の力持、「結晶」について種類と物性の解説し、その結晶成長について講義しました。
 
【体験テーマ】
  8月2日(火): 触媒の不思議 
            身近な吸着の世界
  8月3日(水): 甘さは砂糖の××倍 -食品工業と化学の話-
           結晶を作って使う
 有機材料化学科      
 8月1日(月)・2日(火)および8月4日(木)・5日(金)の計4日に渡り、高校生のための体験教室を4講座開講しました。各実験には3〜5名の学生が配属し、12時間程度の実験を行いました。
 受講生が高校2年生だと、化学や物理を殆ど学習していないため、高校生にも理解できるように、テキストや実験内容も改良しています。実習終了後、学科説明、研究室見学および参加学生と教職員との懇談会を行いました。
 
【体験テーマ】
  8月1日(月)〜2日(火):高分子化学実験
                有機エレクトロニクス実験
  8月4日(木)〜5日(金):無機分析実験
                 高分子物性実験
◇ 化学システム工学科  −先端科学と循環型社会を支える化学の工学− 
 7月25日(月)から28日(水)及び29日の計4日間、化学システム工学科では「先端科学と循環型社会を支える化学の工学」と題して高大連携体験教室を実施し、16名の申込がありました。
 この授業は、化学の工学がどんな分野で応用されているかを具体的に解説するとともに、実際の最先端研究を実験をとおして高校生に体験してもらう内容です。
 
 午前中は「新素材開発をとおした未来型システムの実現」、「循環型社会を目指したエネルギーと環境システムの構築」、「環境にやさしい社会を実現する化学の工学」について講義を行い、午後は実験を行いました。
 機械システム工学科 −ものづくりの最新技術−
 7月25日(月)から7月29日(金)までの5日間、日本が世界に誇るものづくりの最新技術について、分かりやすく講義し、実際のものづくりを体験してもらいました。7校から10名の参加があり、初めて触れる装置ばかりで戸惑いもあったようですが、質問も活発に出て指導に当たった大学院生を困らせるほどでした。
 
 「イメージしていた機械工学よりももっと幅が広いことを研究している」、「体験教室は高校生にとって良い刺激になるのでこれからも続けてほしい」、「視野を広げられることができた」などの感想が聞かれました。
 
【体験テーマ】
  1日目:「放電加工による精密加工とマイクロ加工」
  2日目:「CAD/CAMによるデジタルデザインと加工」
  3日目:「加工における超音波利用計測」
  4日目:「ものづくりと摩擦」
  5日目:オープンラボ・一日体験教室に参加(学報439号参照)

 1日目のテーマで高校生が自らデザインして黄銅板(5mm厚)から切り出したミニオブジェの一つです、“CIEL”はフランス語で“空”だそうです。最近の高校生はシャレていますね。
 物理システム工学科 −体験物理工房オープンラボ−
 物理システム工学科では、高大連携体験教室を7月25日 (月)に開催しました。「オーロラをつくる」「虹を作る」「超電導を 測る」の3グループに分かれ、午前中は主にテーマに関する講義と、午 後から実験を行いました。

 写真は、オーロラをつくる装置と実際につくったオーロラの青白い光です。実験室でオーロラや虹などの自然現象を間近に観察できて、参加者は驚きの声を上げていました。また、少人数での体験教室を通じて物理学に対する理解と興味が増えた、という感想も聞けました。 
電気電子工学科  −LEGO ロボット制御とディジタル回路の実験−
 8月22日(月)〜25日木)の4日間、高校生向け体験教室「LEGOロボット制御とディジタル回路の実験」を開催し、10名の参加がありました。
 22、23日はLEGOロボット(MindStorm)を用いて、高校生にロボット制御の基礎を体験してもらいました。高校生はコースをより早く走り抜けることを目標に、ロボットならびに制御プログラムを自分で作成していました。最後のタイムレースでは、びっくりすようなアイデアが出てきたりと、自由な発想で熱心に楽しく取り組んでいました。
 24、25日は午前中は講義形式でディジタル回路を説明し、大学の講義を体験してもらいました。午後はブレッドボード上に実際にディジタル回路を組んで動かす実験を行いました。皆大変熱心で、4人の変則多数決回路に拡張したり、じゃんけん回路を作成するなど、各自でさまざまに工夫して積極的に取り組んでいました。

 この4日間で電気電子における物作りの楽しさを充分に体験してくれたものと考えています。
      
  
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