I. 高速空気流 (航空機周りの流れ)
II. 気液二相流 (a) マイクロバブルの基礎と応用
III. 気液二相流 (b) 火山爆発のダイナミックス
IV. 流体計測
次世代超音速旅客機開発に向けて,宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が進めている,小型高速実験機プロジェクトに関連する研究.エンジンの空気取り入れ口 (インテーク) における衝撃波の振動現象 (buzz) に着目し,その発生メカニズムの解明と制御法を検討する.本研究室所有の超音速風洞を用いた風洞実験,UPACS (JAXA開発の流体数値計算 (CFD) コード) による数値シミュレーションを行う.
多孔質酸化アルミニウム皮膜を用いた高速応答型感圧コーティング (IV.参照) の実証試験の一環として,遷音速 (M = 0.8-0.9) デルタ翼に見られるバフェット現象の計測と解明を進める.バフェット (buffet) は,流れにともなう著しい圧力の時間的変動現象を意味する言葉である.遷音速域では,翼面上に発生する衝撃波と翼端から生じるはく離渦とが干渉することで,激しい圧力変動が生じる.宇宙科学研究本部 (ISAS) 所有の遷音速風洞を用いた風洞実験,および数値シミュレーションを行う.
(キャビテーションについて知りたい人はここ(htm)をクリック) 水中に強力な超音波(圧力変動)を発生させると,微細気泡が発生することが知られている.この現象を「音響キャビテーション (acoustic cavitation)」という.超音波洗浄機は,音響キャビテーションによって発生した気泡の破壊力を利用して洗浄を行うものである.また,音響キャビテーションの発生は,一方で,超音波探知機,インクジェットノズル,超音波治療器などの誤作動を生む原因でもある.本研究では,このような音響キャビテーションの特性を,超音波浮揚装置 (levitation cell) を用いた高速度カメラ撮影実験や,流体力学的相互作用を考慮した理論解析によって調べている.
キャビテーションは,液体中に存在する直径数10ミクロン程度の気泡がタネとなって発生することが知られている.超音波を利用して,このような微小気泡核を人為的に作り出す装置を開発した.開発した装置を使うと,直径0.1 mm程度の気泡を.任意の数だけ,こちらの望みのサイズ,間隔をあけて作ることができる.
液体へのガス溶解は,海中へのCO2ガス固定,汚水処理など,化学工業では重要なプロセスである.本研究では,特に直径10ミクロン程度のマイクロバブルについて,その溶解速度に対する液体乱流場の影響を調べる.乱流場の影響を考慮に入れた数理モデルの開発,干渉画像法 (IV. 参照) による粒径時間変化の精密計測,流動場の高解像度PIVなど,理論,実験両面からアプローチする. 海上技術安全研究所との共同研究. 船舶における抗力の80%は,船体周りの流動摩擦抵抗であることが知られている.本研究は,船体周りにマイクロバブルを噴き出すことで,劇的に摩擦抵抗を低減する手法の確立を目指す.回流水槽を用いた模擬実験によるせん断力,気泡運動の計測を行う.海上技術安全研究所との共同研究.
研究紹介記事(市原・亀田, 可視化情報 Vol. 22, No. 87 (2002), pp. 223-228)ダウンロード・・・ここ(PDF)をクリック
火山の爆発的噴火時におきる「マグマの破砕」の物理過程を明らかにする.破砕とは,マグマ中に溶解している気体が,噴火時の急減圧に伴い析出・発泡する現象である.このようなマグマが火口に達すると,中に含まれる気泡のために飛沫状となって噴出し,激しい噴火現象として観察される.本研究室で所有する100気圧まで加圧ができる円管流動実験装置を用いて,このプロセスに関するモデル実験を行う.文部科学省科学研究費補助金(特定領域研究)プロジェクト.東京大学地震研究所との共同研究.
火山噴火の原因は,大まかには,マグマに含まれる,ないし,マグマの周りにある水などの揮発成分が何らかのきっかけで気化,膨張することにある.本研究では,噴火時のマグマ流動を模擬する室内実験装置を用いて,気泡を含む高粘度流体の円管内流動特性を明らかにするためのモデル実験を行っていく.文部科学省科学研究費補助金(特定領域研究)プロジェクト.
詳細な説明はここ(htm)をクリック
研究紹介記事(亀田・浅井・江上, 冷凍 Vol. 77, No. 901 (2002), pp. 991-996)ダウンロード・・・ここ(PDF)をクリック 感圧・感温塗料 (PSP・TSP) は,圧力や温度の変化によって,発色の違いが生じる特殊な塗料である.この塗料を物体表面に塗布し,その発色特性を調べることで,表面上の圧力・温度を計測することができる.これまで,圧力・温度は,点計測でしか計測できなかった.この塗料を使えば,これらの物理量を面で計測できるため,計測によって得られる情報量が飛躍的に増える.本研究では,未だ難しいとされている非定常圧力変動を目標として,新しい塗料やより良い画像処理計測技術の開発を進めていく.文部科学省科学技術振興調整費(MOSAIC)プロジェクト.宇宙航空研究開発機構 (JAXA) との共同研究.
(1)のPSPは,原理上,気体圧力しか測ることができない.そこで,液体場にも適用可能な感圧素子を開発するべく,現在知恵を絞っている.科学研究費補助金(基盤研究)プロジェクト.
干渉画像粒子測定法 (ILI) は,レーザーを用いた光学的計測法の一つである.粒子を回折格子として用いることで,粒子サイズを干渉縞間隔に変換することができる.本研究では,ILI法・シャドウグラフ法と高速度ビデオカメラを組み合わせた計測システムを開発し,気泡溶解過程の定量的な把握を目指していく. 海上技術安全研究所との共同研究.
II. マイクロバブルの基礎と応用に関する研究
III. 火山噴火現象を見極める研究
(1) 流動にともなうマグマの破砕 〜爆発的噴火の機構解明に向けて〜
IV. 流れの可視化計測手法に関する研究