カイコのモザイク解析
一個体の生物体の異なった部分で2つの遺伝的対照形質が現れているものをモザイクとよぶ。モザイク個体は動物においても植物においても出現し, 昆虫ではその例が多く知られている。このモザイクの個体は遺伝及び発生を研究していくうえで有用な材料となる。
モサイク蚕の発生は卵核極体,精核(昆虫類では精子は卵内に数個進入する。極体も卵内に残る)の組み合わせで,様々なモザイクが形成される。
カイコのmo遺伝子を持つモザイク系統では『卵核と精核の接合』と『極体と精核の接合』の雌雄モザイク蚕が多数誘発される。
その個体を背面から解剖し,生殖巣(精巣or卵巣)を調査する。また,神経球及び脳の着色状態について実体顕微鏡で観察する。
モザイク蚕の腹側
神経球
青矢印:正常着色(+/w2)の神経球 赤矢印:w2/w2の白い部分
頭部
白い(w2/w2)左の脳(↓)と:正常着色(+/w2)の右の脳(↓)、
緑:アラタ体、肌色:唾液腺、黄:前胸腺
生殖巣
左:卵巣、右:精巣
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正常眼 |
白眼(w2) |
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モザイク 左眼:正常//右眼:白眼 |
参考書 | UPBiologyシリーズ | 動物の系統と個体発生/団まりな |
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昆虫の発生生物学/岡田益吉 |
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昆虫の発生学入門/安藤裕 |
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総説 | ジョウジョウバエの発生遺伝学(1973)堀田凱樹,科学,Vo1.43,2-11. |
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成熟分裂と受精の突然変異一モザイクとジナンドロモルフー,小林正彦,遺伝,Vo1.45,14-18. |
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論文 | Mapping of behavior in Drosohila Mosaics(1972), Y.Hotta & S.Benzer, Nature, vol.240, 527-535. | ||
モザイク解析によるカイコの発生運命予定域の研究 T.体節表皮および神経節(1980), 勝木元也ら, 動物学雑誌, 89, Vol.269-276. |