プログラム理念


プログラムの理念


人間社会は,自らの文明を築くための資源を自然環境から得てきました。しかし、生産と保護とを融和させることなく自然と関わり続けた結果、自然環境との間で多くの矛盾を持つようになりました。この状況を改善するためには、土・水・野生動植物やそれらを取り巻く大気等を大きなシステムとして捉えること、自然環境と人間社会の関わり方を見直すこと、により自然環境の保全を進めることが必要です。
 本専攻では、土、水大気、野生動植物、森林、山地、都市、人間を対象に、生産と保護とを融和させるための知識と技術の習得をはかることにより、自然の持続利用と保護、回復に関する教育、研究を行います。

二つの教育研究分野


自然環境保全学プログラムは次の二つの教育研究分野があります。
  • 生態系保全学分野
     野生動植物の保護はこれまで主に人間活動の影響の比較的軽微な地域,いいかえれば,人間にとって利用価値の低い地域において行われ,自然保護は開発や自然の利用と対立するものと考えられてきました.しかし,現在,人間活動と自然保護の共存を模索する時代となっており,人間活動のあらゆる場面で人間と自然との良好な関係を築き上げることが真に求められています.
     そこで,本教育研究分野では,自然生態系のみならず,人間が作り上げた環境における動植物の分布や生態の把握,資源の永続的利用が可能となるような自然の保護管理システムの構築,人間社会や人間の健康と自然環境との関わりの解明などの課題に取り組みます。そして,生態系保全に関する科学と技術の習得を図り,自然の保護と利用の正しいあり方を模索するために,人間活動と自然を対象に様々な視点からの教育研究を行います.
  • 森林環境保全学分野
     森林や山地における人間活動は,自然との調和を図ることによって,持続的に行うことが可能になります.逆に,森林資源を過度に利用したり,無秩序に土地を利用したりすると, その調和は崩れ,森林や山地の荒廃へとつながります.すなわち,現代求められている森林環境の保全には,利用と保護との融和が鍵となります.
     そこで本教育研究分野では,主として森林(森林生態系)および山地の環境に着目し,森林を構成する生物,土,水,空気といった要素の形成過程ならびに, 生物群集の安定性や生物多様性を維持する機構に関する教育研究を行います.さらに,森林や山地の環境を人間社会との関わりを含んだシステムとしてとらえ,森林資源の持続的利用と森林,山地の保護,回復に関わる保全科学,技術の教育研究を行います.