体験工房2018:体験テーマ4

4. 直流モーターをつくる:磁界が電流に及ぼす力

 磁界中に電流の流れている導線をおくと、導線に力が働きます。このことを利用して、電気的エネルギーを力学的エネルギーに変換する装置がモーターです。身近な材料を利用して直流モーターをつくり、磁界が電流に及ぼす力について実験してみましょう

 

 

 

 

 

磁界中に電流の流れている導線をおくと、導線に力が働く。このことを利用して、電気的エネルギーを力学的エネルギーに変換する装置がモーターだ。身近な材料を工夫して実際に直流モーターをつくり、磁界が電流に及ぼす力について実験しよう。


フレミングの左手の法則
磁界Hが存在している場所に、磁界に対して垂直方向に長さLの導線を置き、導線に電流Iを流すと導線には力Fが働く。このとき、力の大きさは、磁界H、電流I、導線の長さLにそれぞれ比例するために、F=μ0LH書き表すことができる。ここで比例定数μ0は「真空の透磁率」とよばれ、μ0=4π×10-7 = 1.257×10-6 N/A2という大きさを持つ。また、磁界H、電流I、力Fの向きの間には図1に示すような一定の関係があり、左手の親指の方向を力の向きに、人指し指を磁界の向きに、中指を電流の向きにそれぞれ対応させると向きの関係を理解しやすい。(フレミングの左手の法則)

直流モーター
図2に示すように、磁界中にコイルをおいて電流を流すと、コイルの向かい合った部分a、bにおいては電流の流れる向きは逆方向となる。したがって、フレミングの左手の法則を考えると、それぞれの部分に磁界が及ぼす力は互いに逆方向を向くことがわかる。(力FaおよびFb)このような、向きが逆で作用点のずれた力を偶力(トルク)といい、偶力が加わった物体(この場合はコイル)を回転させるように働く。コイルが180度回転すると最初とは逆方向に偶力が働くので、このままでは回転を始めたコイルは停止してしまう。これを避けるために、180度回転するたびにコイルに流す電流の向きを逆転させてやれば、偶力は常に同じ方向に働き、コイルは回転を続ける。

      

図1:フレミングの左手の法則        図2:直流モーターの原理

モーターの作製
写真のように身近な材料をもちいて、回転軸にコイルを取りつけ、電流反転装置を工夫して、直流モーターをつくろう。コイルにいろいろな方向から磁石を近づけて、電流にどちら向きの力が働いているか、モーターの回転方向から考えよう。
1. 適当な直径の円筒形空き瓶等(コーヒー粉缶、ビール瓶等)に被覆線を巻き付けコイルをつくる(巻き数:数十回)
2. 丸い鉛筆の両端を削りモーターの回転軸にする。1.でつくったコイルに鉛筆の回転軸を通し、針金(余った被覆線でよい)でコイルを軸に固定する。(ギリシャ文字の型)コイルの導線は軸の両側に均等に振り分け、なるべくバランスをとる。
3. 回転軸のコイルがついていない部分に4枚の金属テープを張り付け、電流切り替え装置の電極にする。金属テープの対角ペア同士を導体(被覆線のあまりを紙ヤスリで裸にしたもの)でつなぎ一つの電極とする。(計2組の電極)2組の電極それぞれにコイルの2本の線をそれぞれ接続する。
4. 回転軸の軸受けには、アクリル板にドリルで円錐形のくぼみを開けたものを用いる。回転軸を両側からアクリル製軸受けではさみ、固定する。
5. 回転軸に張り付けた電極に対して、真上から接触するように裸導線を差し渡す。裸導線の一方は自由に回転する軸に取り付け、反対の一方には重りを取りつける。
6. 直流電源から5.の裸導線を通してコイルに電流を流す。コイルを挟むように2枚のフェライト磁石を近づけコイルに対して磁界を加える。