卒業生の声

物理システム工学科と物理システム学科の前身の学科・コースの卒業生から、声を寄せてもらいました。

いろいろな分野で現在活躍されている本学科のOB,OGたちが、どんな理由で本学、本学科を選んだのか。
また、大学で学んだことが、就職後どのように役立っているのかを語ってくれています。
みなさんが進路を決める際の参考にしてください。

Y. O さん
1996年学部卒業
1998年大学院修士課程修了
Schlumberger
Product Line Manager

現在どんな仕事をされていますか?
石油開発サービスを提供する会社で働いています。入社してすぐにタイに赴任し、9年間5カ国での海外勤務のあと、昨年まで5年間人事部長、製品技術本部長として日本で勤務していました。現在はアメリカ本社でグローバルマーケティングマネージャーとして製品開発と販売促進を担当しています。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
大学は東京の真ん中にあるという不純な動機で選びました。応用物理学科を専攻したのも絶対物理がやりたいというわけではなく、入ると高エネルギー加速器研究機構に出向できる事や漠然と宇宙の神秘に迫れる実験ができそうだと思ったからでした。動機は何であれ、結果物理系を専攻したおかげで今の自分があると思っているので人生本当に何があるかわかりません。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
人事をやっていた経験から、学生はとかく自分の専攻を仕事に活かしたい、活かせると考えがちです。しかしそんな事は稀ですし、会社も特に期待もしていません。実験物理をやっていたおかげで、仮説のたて方、どうやってその検証が効率よくできるかという事を考えられるようになりました。結論がより多くの人に受け入れられる為には説明、 過程 、結論全てが論理的でないといけません。海外で働くと空気を読んだり、曖昧な表現で理解してくれる人はいません。いかに論理的に万人が理解できるよう説明できるかが非常に大事であり、これは間違いなく物理を勉強して学んだ事です。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
弊社は従業員 120,000 人、 140 の国籍を持つ人達が 85 もの国で働く超多国籍企業です。そんな環境でも対等以上に渡り合えて来たのは、自分は出来るという自信と誰にも負けない論破力だと思っています。その多くは大学で研究をしながら、そして大学の外での活動を通じて培ったものに違いありません。どのような道を辿ろうとも自分を信じてその瞬間その一瞬を一生懸命生きてください。 応援しています。

中村 祐介 さん
1999 年学部卒業
2001 年大学院修士課程修了
株式会社本田技術研究所
四輪R&D センター 研究員

現在どんな仕事をされていますか?
運転して楽しいと感じる商品魅力に関わる車両運動性能向上に重要な役割を担うホイールなど足回り部品の技術開発及び設計を行っています。
これまで、オデッセイ・アコード・シビックなどの設計を携わって来ました。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
農工大を初めて知ったのは、高校の先生の紹介から。 自然界の現象を明確に定量化する物理学をもっと学びたいと思っていたこと、卒業生の就職先が製造業をはじめとした幅広い分野であり且つ多くが有名企業であったことが当時の私には大変魅力的でした。 また、研究においては大学内のみならず高エネルギー加速器研究機構などの最先端研究機関と共同研究を行える環境が、農工大には整っていました。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
物理学の「基本原理に立ち返ってものごとを理解すること。」が製品開発を行なううえで最も重要なことであることに気付いたのは、実際には就職して身をもって体験してから。自動車業界も高品質だけで売れていたのは過去のこと。これからは、単に既存製品の改良ではない新価値を技術で創出することが求められています。農工大で素粒子物理を学ぶなかで鍛えられた、この基本原理の理解と実験による原理証明のアプローチを日々実践して技術開発を行っています。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
大学生活は、これまでの授業という受け身で学んできた場に加え、自由な発想で主体的に学問を究めることが出来るチャンスの場です。最先端研究課題にチャレンジして強い研究者となれる環境が農工大には整っています。 是非自らチャレンジして強い研究者となって日本のモノづくりに貢献する人材になっていただきたいと思います。

犬塚 史一 さん
2002年学部卒業
2004年大学院修士課程修了
日本電信電話株式会社
NTT未来ねっと研究所 研究主任

現在どんな仕事をされていますか?
電話やインターネットなど、皆様が利用している通信データを運ぶ光ネットワークの研究開発をしています。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
東京農工大学は、理科系の学部/学科に特化した大学であり、より専門的に物事を学べると感じたからです。また、都心近郊にありながら穏やかな空気が流れる小金井の地で勉学や学生生活を送れるのも魅力でした。高校生の頃は、将来、工学系の仕事に就きたいという漠然な思いしかなく、大学で物事を学んでから将来やりたいことを見つけたいと考えていました。そんな中で、 万物の基礎となっている『物理』と、それが世の中にどう活用されているかに深く関わる『工学』の両方を併せ持つ『工学系の物理』に興味を持ち、物理系の学科を選びました。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
物理の重要な側面のひとつである「原理や根本に立ち返って考える」能力が仕事に役立っています。仕事をする上で、研究でも開発でも、技術的な壁に当たることがあります。そんな時、物事の「何故だろう」を数回繰り返して考えると、答えや突破口が見えてきます。技術的な物事ばかりでなく、人との係わりや仕事上の戦略などにも根本的な始点に返って考える力は重要であり、非常に役に立っています。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
私はいつも、いつどんな立場でどんな仕事に就こうとも、今ある環境で自分の実になる何かをひとつでも得ることを心掛けています。皆様も、大学生活の時期に、勉強やサークル活動やアルバイトなどの中から、何かひとつでも自分のためになることや興味が持てるものを見つけて下さい。

上 菜津子 さん
2003年学部卒業
2005年大学院修士課程修了
独立行政法人新エネルギー・産業技術
総合開発機構(NEDO)
人事部人事課主任

現在どんな仕事をされていますか?
NEDOは国の資金を使って技術開発を推進する機関です。入構後、光通信や半導体関連のプロジェクトに携わりました。現在は、人事、主に新卒採用の仕事を担当しています。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
幼い頃から理科に興味がある一方、文系の科目にも興味がありました。進路を考えた時に、小さいときに原子の仕組みを知った時に感じた「面白い!」 という気持ちを感じた記憶や、宇宙の起源への興味もあり、大学でも物理を勉強したいと思いました。
農工大は地元にも近く、あまり大きな規模でない大学なのでじっくり学ぶことができるのではと思い、選択しました。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
物理だけでなく科学全般に言えることかもしれませんが、大学での学びはすべて論理的に考えることにつながっていたと思います。そのような経験は、今は物理とは関係のない仕事をしていますが、制度を改正したり、構築していく上で、とても役に立っています。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
大学は、単に知識ではなく、自分の頭で物事を考え、手を動かして問題を解決していくための手段を身につけられる、大切な期間だと思います。自分には難しいと感じられることを乗り越える力を是非農工大で身につけて欲しいと思います。

梅澤 裕介 さん
2007年学部卒業
2009年大学院修士課程修了
株式会社東芝 生産技術センター
プロセス研究センター

現在どんな仕事をされていますか?
フラッシュメモリと呼ばれるデジタルカメラやスマートフォンなどのデジタルデータを記憶する半導体メモリの研究開発に従事しています。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
物理システム工学科を選んだのは,半導体や液晶などの「ものづくり」に通じる物理分野をしっかりと学びたかったからです。中でも東京農工大学は研究設備や文献が充実しており,物理工学を勉強・研究する上で最も恵まれた環境だと考えました。また、就職に強いということも魅力に感じました。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
大学での授業・研究を通して物理の基本から応用まで幅広く学んだことで,自ら学ぶ力,未知なる課題を切り拓いていく力が養われたと思います。さらに、物理実験学の授業では、現象の本質を理解する力、人に分かりやすく正確に伝える力,チームで成果を出す力など業務を行う上で重要な要素を鍛えることができ,社会に出てから非常に役に立っています。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
大学を選ぶ段階で, 大学卒業後どんな自分になりたいか具体的にイメージし、イメージした目標を実現するためには大学で何を学ぶ必要があるのか,そのために最も良い大学・学部はどこか徹底的に調べてください。もちろん,大学に入ってさらに興味を持てるものに出会い,目標は変化していくと思います。そこで,入学後も定期的に自分の将来像と、そのために必要なことをじっくり考えると良いと思ます。

武田 宗一郎 さん
2010年学部卒業
2012年大学院修士課程修了
住友電気工業株式会社
超電導製品開発部 線材技術グループ

現在どんな仕事をされていますか?
超電導線の開発と生産管理です。製品の性能、コスト、生産量 (歩留り ) の 3点をレベルアップさせることが課されています。

東京農工大学を選んだ理由、物理系の学科を選んだ理由を教えてください。
日本は科学立国、技術大国と呼ばれています。物理、化学、生物の三科目を高校では学びましたが、その中で物理こそが科学の基礎になっていると感じておりました。物理学科を選択することにより、将来広い領域で活躍できる人材になれると考えて物理学を専攻しました。
東京農工大学を選択した理由は、最先端の研究をしているのが魅力的だったのはもちろんですが、東京にあるにも関わらず、学び舎には緑が多く、工学部周辺は閑静です。学びと遊びのメリハリのついた大学生活がおくれそうだと感じていました。

物理系の学科で学んだことが、仕事にどのように役立っていますか?
会社 (メー カ) では製品の製造設備や測定装置など、様々な機器に精通していることが要求されます。機器は科学的原理に基づくため、大学と大学院を通して学んだ基本的な物理学の知識や実験技術は、新しいことを学ぶ際の私の素養になっています。また、先生方の熱い指導のもとで実験と研究報告を重ねることで、論理的に考え、伝える技術が鍛えられただけでなく、実験 (自分に課された task) に臨む姿勢まで学ぶことができました。これらのことは仕事をこなしていく上で役立っています。

受験生・在校生に一言メッセージをお願いします。
科学の進歩が人類の進歩とも言われる現代において、東京農工大学物理システム工学科ではその進歩に自分が貢献できるのではないかという壮大、且つ得難い思いが味わえます。