体験工房2018:体験テーマ14

14 医薬品製造をプチ体験する:温度を変えずに創る結晶

 医薬品は、どうやって作られるのでしょうか。
錠剤や粉の薬などの多くは“結晶”からできています。実験で、医薬品製造で行われている結晶創りを体験してみましょう。

■ 結晶って?
目に見える結晶1粒は、分子や原子が1020個くらい集まって規則正しく並ぶことで出来ています。実は、並び方が違うと、同じ分子や原子で出来ていても、結晶の性質は異なります。例えば、グラファイト(黒鉛)とダイアモンドは全く異なる性質を持っていますが、同じ炭素原子からできています。分子や原子がどう並ぶかは“結晶の創り方”によって変わります。

■ 結晶をどうやって創るのか
では、結晶はどうやったらできるでしょうか?加熱して溶媒を蒸発させる、冷却して温度差をつける…など、中学校や高校の教科書に載っているものもありますね。
医薬品の成分は温度変化によって壊れてしまうものも多く、ただ加熱して溶媒を蒸発させる、ただ冷やす、というわけにはいかないこともあります。そんな医薬品の製造では、“温度を変えずに結晶を創る”方法が利用されています。

■ 結晶創りのレシピを探る
料理のレシピによって味が変わるように、結晶も創り方によって出来上がるものが変わります。例えば、「食塩の結晶」と言えば写真の左のような立方体をイメージするでしょう。ですが、創り方によって中央や右のような形にもなります。また、創り方によって結晶1粒の大きさも変化します。
実は、形や大きさといった外見の違い、結晶の“溶けやすさ”を左右します。つまり、医薬品の効き目に関係する大事な要素なのです。

NaCl

 図1 食塩結晶の様々な形

■ 非溶媒添加による結晶創りを体験する

医薬品製造で使われている“温度を変えずに結晶を創る”方法を、実際に体験してみましょう。この方法はAnti-Solvent添加方法と呼ばれています。
そして、創った結晶を高倍率で観察してみましょう。
キラキラ?ごつごつ?サラサラ?どんなものが見えるでしょうか。
当日は一緒に結晶を創って観察してみましょう。