東京農工大学

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研究TOPICS

哺乳動物の精原細胞を培養して、体外で精子を産生する技術を開発 農学部共同獣医学科 獣医生理学研究室

近年、体外受精などの生殖補助医療技術が、家畜繁殖や希少動物保全の現場で活用されています。生殖補助医療には、雄性配偶子である精子が必要です。精子は成熟した雄の精巣内で「精原細胞」から形成されます。そのため、死亡個体や未成熟個体からは入手できません。こうした個体の精原細胞を回収し、体外で精子形成を誘導できれば、配偶子の入手・保全が可能になります。

当研究室では、希少動物の種の保全を目的として、哺乳動物の精原細胞から体外で精子を産生する技術開発を目指しています。すでに未成熟マウスの実験では成功しており、現在は成熟マウスやイヌ、ネコを対象に同様の技術の確立に挑んでいます。実験動物や伴侶動物だけでなく、家畜や動物園動物、野生動物も対象にしています。東京農工大学は附属動物医療センターがあるほか、近隣に多摩動物公園もあり、多様な哺乳動物種の生体試料を入手しやすい環境があります。今後も精巣細胞の機能解明を進め、希少動物種の保全に資する技術開発に取り組んでいきます。

犬の精細管の断面図。精子形成前(赤色)と形成途中(緑色)の精原細胞、青色は細胞核
農学部 共同獣医学科 山本 ゆき 准教授

農学部 共同獣医学科

山本 ゆき 准教授

Student's Voice

大澤里穂さん

農学部
共同獣医学科6年
大澤 里穂さん

千葉県立東葛飾高等学校出身

多様な動物種を未来につなぐための
生殖や繁殖という研究分野を知った

成熟マウスの精巣を使って、体外で精子が形成される過程を再現するための培養条件を検討しています。専用の培養デバイスにマウスの精巣組織を入れ、温度や添加物などを細かく調整します。私はマウスの精巣で実験を行っていますが、過去には多摩動物公園から提供を受けたキリンやチーターの精巣で解析を行っていた先輩もいます。この研究は繁殖が難しい動物や希少動物の遺伝的多様性を守りながら次世代につなぐ技術に発展できる可能性があり、大きな社会的意義を感じています。

研究室で培養しているマウスの精原細胞

もともと私は野生動物の保護に携わりたいという思いがあり、獣医学の道を志しました。そして、入学後に目の前の動物を守るだけでなく、多様な動物種を未来につなぐための生殖や繁殖に関する研究の重要性に気づき、獣医生理学研究室を選びました。将来は獣医師として、野生動物の多様性保全に関わるのが目標です。研究で得た視点や経験を動物園や水族館などの現場で活かしたいと思っています。

※掲載内容は、2026年3月取材時のものです。