研究TOPICS
「ポストハーベスト工学」は、収穫した野菜や果物を新鮮なまま消費者に届けるために、貯蔵・流通中に起こる品質変化を科学的に捉え、劣化を抑える技術を開発する研究分野です。研究室では、青果物の代謝反応(呼吸など)を含む生理変化を計測するとともに、温度や湿度、ガス環境、振動など流通環境のデータと光学的な非破壊計測、成分分析などを組み合わせ、品質の状態や劣化の進み方を「可視化」し、品質管理に活かす方法を検討しています。
ガスクロマトグラフにより「P25」を塗布した基盤のエチレン分解量を定量また、品質変化に関与するエチレンに着目し、酸化チタン光触媒(P25)を固定化したモジュール等を用いたエチレン分解・制御技術を開発しています。本研究室の強みは、フィールド調査、ラボ実験、数値解析を組み合わせ、技術導入の効果を多面的に検証できる点です。こうした知見を統合し、流通条件に合わせた品質管理技術を提示することで、国内およびアジア地域の流通課題の解決に貢献することを目指します。英語での研究発信や国際学会での成果共有を通じて、グローバルな視座を身につけられる点もこの研究の面白さだと思います。
鮮度保持フィルムを用いた包装条件下で、流通中のブロッコリーの品質保持効果を検証中
農学部 地域生態システム学科
安永 円理子 教授
Student's Voice

大学院農学府農学専攻
食農情報工学コース 修士課程1年
黒木 麻衣さん
兵庫県立長田高等学校出身
光触媒「P25」を用いたエチレン分解デバイスを開発
光触媒を用いたエチレンの酸化分解に関する研究を行っています。光触媒に用いるのは、「P25」と呼ばれる酸化チタンの粉末です。これを薄膜として基材に固定化し、そこに紫外光を当てて、エチレンの酸化分解に有効かを調べています。すでに実験では、P25の光触媒としての効果を確認しており、今後はこれをどうスケールアップするかが研究課題となっています。
この研究テーマを選んだのは、もともと「食品ロス」の問題に関心があったからです。学部の授業で、青果物の品質は流通段階で大きく変化することを学び、劣化の原因となるエチレンを制御する技術に興味を持つようになりました。この解決方法として、光触媒という環境負荷の少ない方法を用いる点にも魅力を感じています。
大学院修士課程では、自作したエチレン分解デバイスをUV(紫外線)以外の波長の光にも反応するように改良するのが目標です。将来は食品流通の仕事などに携わり、食品ロス削減に少しでも貢献したいと思っています。
光触媒「P25」を用いたエチレン制御デバイスを独自開発※掲載内容は、2026年3月取材時のものです。
