近赤外分光法を用いた流動層乾燥プロセスにおける乾燥終点の自動判定

概要

パイロットスケールの流動層乾燥プロセスにおいて結晶粉中の水分量をリアルタイムでモニタリングできるようにした.このプロセスは,ラクチュロースの三水和物結晶粉から無水物結晶粉へ変換するプロセスである.2種類の近赤外分光法(Near-Infrared Spectroscopy; NIRS)について,水分量の推定精度を検討した.3つの波長のみを用いる簡易型のフィルター型分光方式NIRSでは十分な予測精度を得るにはさらなる工夫が必要である.一方,フーリエ変換型分光方式のNIRS(Fourier transform, FT-NIRS)を用いる方法は,高い精度で水分量を推定できた.特に,水分量1.00%以下に限定すると極めて高い精度で水分量を推定できることがわかった.この技術によって,結晶粉中の水分量をリアルタイムにモニタリングすることができるようになり,流動層乾燥プロセスにおける乾燥終点の自動判定が可能になった.

収録
化学工学論文集 43巻 No.1 pp.29-36