研究室の概要

複合材料や接着継手を中心とした機械材料・構造の材料強度に関する研究を行っています。航空宇宙システムや自動車など、さまざまな産業分野への応用を目指し、基礎研究と応用研究の両面から取り組んでいます。JAXAをはじめ、国内外の大学や民間企業との共同研究も積極的に推進しています。学内では小笠原研究室との共同研究も多く実施しています。
本研究室では、複合材料や接着継手の力学的試験法の構築から、ミクロ(nmオーダー)からマクロスケール(部分構造)に至る損傷・破壊挙動の実験的評価まで幅広く実施しています。さらに、画像解析やデータサイエンス、数値解析と実験を組み合わせることで、材料強度のメカニズム解明を進めています。
特に近年は、データサイエンスなどのデジタル技術の高度化に向けて、質の高い実験データに基づく現象理解とモデリング技術の構築が重要となっています。本研究室では、精緻かつ高精度な実験データを蓄積し、世界に向けて発信することで、材料強度分野におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現にも貢献しています。
また、新しい構造様式の提案など、将来の機械システムを見据えた研究も積極的に進めています。

研究テーマ例(過去のテーマを含む)

  • 炭素繊維複合材料(CFRP)のマトリクス亀裂進展過程における定量的評価法の開発と微視的損傷評価(科研費、ワシントン大学(アメリカ)・立命館大学などとの共同研究)
  • 複合材料におけるマトリクス亀裂累積挙動評価とメカニズム解明(東京都立大学との共同研究)
  • ミクロスケールの欠陥を起点としたCFRPの損傷挙動評価(科研費、パドヴァ大学(イタリア)・東京大学・東京都立大学との共同研究)
  • リサイクル性に優れた熱可塑性CFRPの成形条件と力学的特性に関する研究(東京大学・東京都立大学などとの共同研究)
  • 雷電流を印加したCFRPの電磁気的応答や力学的特性に関する研究(JAXAとの共同研究)
  • 複合材航空機の構造設計における不確かさの定量化に関する研究(JAXAとの共同研究)
  • 燃料電池自動車(FCV)用CFRP高圧水素タンクの新たな構造様式に関する研究(NEDO事業、名古屋大学・金沢工業大学・日本大学・東京大学との共同研究)
  • CFRP接着構造における損傷進展挙動のマルチスケール評価(JAXA・名古屋大学・アクロン大学(アメリカ)などとの共同研究)
  • CFRP破壊じん性試験の亀裂前駆領域における損傷進展観察(京都大学・高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究)
  • データサイエンスを用いたポーラス金属材料の特性予測に関する研究(天田財団、東京都立大学との共同研究)
  • 凍結融解サイクルがCFRP接着継手の力学的特性に与える影響の評価(JAXAとの共同研究)
  • CFRP接着構造の動的亀裂進展挙動に関する研究(JAXA・立命館大学との共同研究)