踏切について
当たり前の話だが、踏切と鉄道は切っても切れない関係で、地域から見ると鉄道により分断され切り離されたコミュニティーを繋ぐ接点という位置づけになる。こんな話をしても多くの人は実感がわかないと思うが、線路の「こっち」と「向こう」では、「異なる地域」と見なされ、極端な話、狭い地域の中で区別化され不動産価格なども違ったりすることもある。
中央線も三鷹ー立川間が完全高架となり、この間の踏切は一つも無くなり、それぞれの地域が面で繋がったことになる(東京-立川でゼロ)。
鉄道の駅と地域を垂直に結ぶのが道路であるので、基本、駅の近くには踏切がある。東小金井の場合、駅の西側の東大通り(ピーコックのところ)に踏み切りがあったが、武蔵小金井の小金井街道踏切ほどではないにしろ、「開かずの踏切」として悪名高いものだった。特に高架工事の途中で踏切の幅が広がったとき、安全を考慮し踏切の閉まる時間が長くなり、「開かずの踏み切りのハイスペック版」となり、さらに事態は悪化した。報道等でも取り上げられ、農工大の学生さんが、踏切が開くの待ちながら論文を読んでいるところが紹介され、「さすが理系の大学は違う」ということ世間に示してくれた。
写真:高架工事が一段落していた2012年5月19日(土)の夕刻から翌朝にかけて、武蔵小金井駅の北側に1線増設し、上りホームを2線化するという切り替え工事が行われ、中央線は東京~三鷹・東小金井間と国分寺~高尾間でそれぞれ折り返し運転となった。東小金井~国分寺間はバスによる振り替え輸送となり・・・。というわけでたいへん珍しい東小金井行の快速電車です。この日、例によって繊維学会の理事会に出席していて、その帰りに撮影したものです。
話は変わって・・・、踏切に関してのいろんなことを・・・。
JR鶴見駅から海芝浦方面に延びる鶴見線だが、大雑把にいって、海側にあるいろんな会社で働いている方々にための鉄道みたいなものなので、平日朝7時と8時台は11本で9時台5本、10時から15時までは1時間3本になるという路線(いずれの鶴見発)である。まさに小学校の時に習った「京浜工業地帯」の中枢を走り、もともと貨物専用線として開業しているので、工場へと接続する専用線が数多く存在していた。鶴見の駅で時刻表を見ると行先は扇町、海芝浦、浜川崎、大川、弁天橋と支線の多さを反映してバリエーションに富んでいる。そんなダイヤ編成でも朝の混雑はたいへんなものらしい。鶴見から2つ目に「鶴見小野」という駅があり、周辺には臨海部研究開発拠点「横浜サイエンスフロンティア地区」があり、様々な企業(日本でただ一つアナログレコードをプレス製造している東洋化成など)、横浜市立サイエンスフロンティア高等学校、理化学研究所横浜キャンパスなどがある。
写真:2013年7月18日に撮影。のっぺりした憎めない顔です。205系1100番代、3両編成)
写真:同日撮影。鶴見の隣の「国道駅の通路」。昭和の香りのするいい駅です。第一京浜(国道15号線)と鶴見線が交差しているのが駅名の由来らしいが、安易でいいよね。
理研の横浜キャンパス(ここの施設はNMRマニアにとって必見だが)に行く場合は、鶴見からバスに乗ったほうが便利ではある(歩かないでいいという理由だが)。バスは基本は南下して海に向かうが、一か所だけこの鶴見小野駅近くに踏切があり、結構な頻度でこの踏切に捕まり、行くたびに電車のほうがよかったかなと後悔したりした。電車自体は例の本数だが、やはり駅近くの踏切は結構な時間、閉まっていることの証左である(自分だけがそういう星の下に生まれたのかもしれないが)。自宅近くのローカル線である西武国分寺線の踏切にも、ちょこちょこ捕まり、「駅で待っていると電車は来ないのに・・・」と愚痴をこぼすことになる。そんなわけで昔の朝の中央線の踏切など基地外沙汰であることもよくわかる。
山梨の自宅近くにも中央本線の踏切(石和温泉駅の東京寄り)があって、上りの電車の場合遮断機が降りている時間が異常に長い。いろんな安全係数をかけて算出しているのだと思うが、やりすぎといえばやりすぎで私の小さい頃からシステムが変わっていないようにも思える。強硬に文句をいう人も現れず、連綿と続いてきたのだろう。田舎では時間がゆったり流れているからで、車の通行量が多ければ、待ち時間はさらに増え、さすがの甲州人も文句をいうだろうが。
武蔵境あたりも絶対にそうだろうが、実感として小金井あたりも中央線の高架化(あと京王線も)によって南北の流れがよくなった(このあたりの鉄道は基本は西から東)。小金井街道の起点として、旧甲州街道の八幡宿交差点から北上することを考えるとまず、京王線の踏切がなくなり、中央線の武蔵小金井駅の全く開かない踏切も今はないので車での移動はスムースである。しかし、さらに北上すると西武新宿線の花小金井近くと西武池袋線清瀬付近はしっかり踏切があり、昭和の名残となっている・・・・。
そういう意味かどうかはわからないが、高架工事(+側道の整備)は、クルマの交通事情を改善するための「道路工事」であり、中央線の場合、総工事費が1710億円のうち国(自動車重量税・ガソリン税などの昔でいうところの道路特定財源)・東京都及び小金井市を含む沿線6市で1430億円を負担し、JR東日本が280億円を負担している(この割合をどう感じるかは人それぞれということで・・・。複々線工事となると、まったく話が別になり、三鷹―立川間が複々線になることも、高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪を快速電車が通過することも、私が生きているうちに実現することはないだろう)。
またまた国分寺の自宅付近の踏切の話。夜になると一時停止違反を捕まえるために、暗い側道にパトカーが身を潜めていて違反車を見つけると、嬉々としてサイレンを鳴らし、追跡を始めるというプロセスをよく目撃する。遮断機の付いた踏切の一時停止は必要ないかなと思っていることも相まって、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのに無視するクルマを取り締まろうとしない警察の姿勢には、やや疑問を感じます。恐らく今でもそうだろうが、自動車教習所では踏切の一時停止のとき、ウィンドーを耳の高さまで下げ、音を確認するようにと教わった。これを実践している人を2人知っていて、一人は25年も前に出会った人で、もう一人は最近知り合いになった人です。あれを実践している人がどれくらいいるかは定かではないが、そのようなきっちりした人を2人知っていることは、結構自慢話になるのかな、などと思っています。もちろん、自分でそのような確認をしたことは一度もないけど・・・。
おまけ:(先月の「不可能の証明」の続きもの)
問)一辺が10 mの正六角形の公園がある。ここに銀杏の木を7本植えることを考える。その場合、すべての銀杏の木に対して、互いの距離が10 mより大きくなるように植えることはできないこと証明しなさい。
解答例)
木は7本なので、下のように公園を区切った場合、少なくとも2本は同じ正三角形の内部(外周を含む)に植えられることになる。その正三角形に注目すると、2本の木を最も離れた位置に植樹した場合でも、距離は10 mとなることから、題意は証明できる。
(2018.12.16)