ある朝

                 葦規

朝 私は夢に起こされた
涙を流していた
その夢は 確か 私が死んだ夢
柩の中の私は 安らかな眠りについたようには見えず
悲しそうだった
そのまわりを 何人かの人達が取り囲んでいた
失恋したばかりの友達と
借金だらけの隣のおじさん
それから 知らない人達
美術館に陳列された石像を見るように
興味深そうに私を見ていた
誰も泣いてはいなかった
魂だけになった私は そんな光景を見下ろしていた
友達の顔は まるで知らない人のようで
怖かった
そこにいた人達は 皆が皆 うつろな眼をしていた
私は それが怖かったし
そんな皆が悲しかった
そして私は目をさました


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