○国立大学法人東京農工大学人を対象とする研究の実施に関する規程
| (平成30年6月1日教規程第29号) |
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(目的)
第1条 この規程は、国立大学法人東京農工大学(以下「本学」という。)における人を対象とする研究の計画及び実施に関し、ヘルシンキ宣言及び「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)」に定められている事項のほか、研究対象者の人権擁護の観点から必要な事項を定め、もって人を対象とする研究の適切な実施を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 人を対象とする研究 明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象又は人類社会の福祉に有効に用いられることを前提に実施される人を対象とした実験調査研究(次号に定める「人を対象とする生命科学・医学系研究」を含む。)をいう。
(2) 人を対象とする生命科学・医学系研究 人を対象として、次のイ又はロを目的として実施される活動をいう。
イ 人(第7号に掲げる「試料・情報」を含む。)を対象として、傷病の成因(健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む。)及び病態の理解並びに傷病の予防方法並びに医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ること。
ロ 人由来の試料・情報を用いて、ヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能並びに遺伝子の変異又は発現に関する知識を得ること。
(3) 侵襲 人を対象とする研究目的で行われる穿刺、切開・薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。侵襲のうち、研究対象者の身体及び精神に生じる傷害及び負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。
(4) 介入 人を対象とする生命科学・医学系研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。
(5) 人体から取得された試料 血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって人を対象とする研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
(6) 研究に用いられる情報 研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって人を対象とする研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
(7) 試料・情報 人体から取得された試料及び人を対象とする研究に用いられる情報をいう。
(8) 既存試料・情報 試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
イ 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
ロ 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の人を対象とする研究に用いられることを目的としていなかったもの
(9) 研究対象者 次のいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
イ 人を対象とする研究を実施される者(人を対象とする研究を実施されることを求められた者を含む。)
ロ 人を対象とする研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
(10) 研究機関 人を対象とする研究を実施する法人、行政機関及び個人事業主をいい、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行う場合を除く。
(11) 共同研究機関 研究計画書に基づいて人を対象とする研究を共同して実施する研究機関をいい、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う機関を含む。
(12) 研究協力機関 研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)、研究機関に提供のみを行う機関をいう。
(13) 研究者等 研究責任者その他の研究の実施(試料・情報の収集・提供を行う機関における業務の実施を含む。)に携わる関係者をいい、研究機関以外において既存試料・情報の提供のみを行う者及び委託を受けて研究に関する業務の一部に従事する者を除く。
(14) 研究責任者 人を対象とする研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。
(15) インフォームド・コンセント 研究対象者又はその代諾者等が、実施又は継続されようとする研究に関して、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について十分な説明を受け、それを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者に対し与える、当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。
(16) 代諾者 生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられている者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。
(17) 代諾者等 代諾者に加えて、研究者対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者を含めたものをいう。
(18) 仮名加工情報 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)第2条第5項に規定する仮名加工情報をいう。
(19) 匿名加工情報 個人情報保護法第2条第6項に規定する匿名加工情報をいう。
(20) 有害事象 実施された人を対象とする研究との因果関係の有無を問わず、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。
(21) 重篤な有害事象 有害事象のうち、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 死に至るもの
ロ 生命を脅かすもの
ハ 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの
ニ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの
ホ 子孫に先天異常を来すもの
(22) モニタリング この規程及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
(23) 監査 研究結果の信頼性を確保するため、人を対象とする研究がこの規程及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
(学長の責務)
第3条 学長は、指針及びこの規程の定めに基づき、人を対象とする研究に関する倫理審査委員会(以下「倫理審査委員会」という。)を設置するとともに、人を対象とする研究の研究対象者の人権に関わる倫理教育の実施、研究対象者への補償制度の整備、その他大学における人を対象とする研究に関し必要な措置を講じなければならない。
(倫理審査委員会)
第4条 倫理審査委員会は、人を対象とする研究の研究計画書が指針及びこの規程に適合しているか否かその他人を対象とする研究に関し必要な事項の審査を行わなければならない。
2 倫理審査委員会に関する事項は、学長が別に定める。
(他の機関に設置された倫理審査委員会への審査の依頼)
第5条 学長は、必要と認めた場合は、他の機関に設置された倫理審査委員会に審査を依頼することができる。
2 前項の場合において、学長は、他の機関に設置された倫理審査委員会の審査の結果を倫理審査委員会に報告しなければならない。
(研究者等の基本的責務)
第6条 研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、人を対象とする研究を実施しなければならない。
2 研究者等は、人を対象とする研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。
3 研究者等は、研究対象者又はその代諾者等(以下「研究対象者等」という。)及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等(以下「相談等」という。)に適切かつ迅速に対応しなければならない。
4 研究者等は、人を対象とする研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。人を対象とする研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。
5 研究者等は、人を対象とする研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに学長及び研究責任者に報告しなければならない。
6 研究者等は、法令、指針等を遵守し、倫理審査委員会(前条第1項の場合においては、審査を依頼した他の機関に設置された倫理審査委員会をいう。以下同じ。)の審査及び学長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。
7 研究者等は、人を対象とする研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合(次項に該当する場合を除く。)には、速やかに研究責任者に報告しなければならない。
8 研究者等は、人を対象とする研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに研究責任者又は学長に報告しなければならない。
(教育・研修)
第7条 研究者等は、人を対象とする研究の実施に先立ち、人を対象とする研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。
(研究責任者の責務)
第8条 研究責任者は、人を対象とする研究の実施に先立ち、別に定める様式により、適切な研究計画書を作成し、学長に提出し、学長の許可を求めなければならない。研究計画書を変更する場合も同様とする。
2 研究責任者は、人を対象とする研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう、研究計画書を作成しなければならない。また、研究計画書の作成に当たって、研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに、負担及びリスクを最小化する対策を講じなければならない。
3 研究責任者は、人を対象とする研究の概要その他の研究に関する情報を適切に記録するとともに、人を対象とする研究の結果については、これを公表しなければならない。
4 研究責任者は、研究計画書に従って人を対象とする研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該研究の実施に携わる研究者をはじめとする関係者を指導・管理しなければならない。
5 研究責任者は、人を対象とする研究の実施に係る必要な情報を収集するなど、人を対象とする研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めなければならない。
6 研究責任者は、人を対象とする研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報であって人を対象とする研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合(次項に該当する場合を除く。)には、遅滞なく、学長に対して報告し、必要に応じて、人を対象とする研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。
7 研究責任者は、人を対象とする研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに学長に報告し、必要に応じて、人を対象とする研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。
8 研究責任者は、人を対象とする研究の実施において、当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には、当該研究を中止しなければならない。
9 研究責任者は、侵襲を伴う人を対象とする研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに、必要な措置を講じなければならない。
10 研究責任者は、研究計画書の定めるところにより、研究の進捗及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を学長に報告しなければならない。
11 研究責任者は、人を対象とする研究を終了(中止の場合も含む。以下同じ。)したときは、学長に必要な事項について報告しなければならない。
12 研究責任者は、他の研究機関と共同で人を対象とする研究を実施する場合には、共同研究機関の研究責任者に対し、当該研究に関連する情報を共有しなければならない。
(審査の実施)
第9条 学長は、前条第1項の規定に基づき許可を求められたときは、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。
(研究計画の可否等の決定)
第10条 学長は、倫理審査委員会の意見を尊重し、人を対象とする研究の研究計画の許可又は不許可その他人を対象とする研究に関し必要な事項を決定するものとし、当該研究責任者へ審査通知書を交付するものとする。
2 前項の場合において、学長は、倫理審査委員会が不承認の意見を述べた人を対象とする研究については、その実施を許可してはならない。
3 学長は、公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために緊急に人を対象とする研究を実施する必要があると判断する場合には、倫理審査委員会の意見を聴く前に許可を決定することができる。
4 前項の場合において、学長は許可後遅滞なく倫理審査委員会の意見を聴くものとし、倫理審査委員会が人を対象とする研究の変更又は中止の意見を述べた場合には、研究責任者に対して人を対象とする研究の変更又は中止を指示しなければならない。
(研究に関する登録・公表)
第11条 研究責任者は、介入を行う人を対象とする生命科学・医学系研究について、厚生労働省等が整備する公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜更新しなければならず、また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならない。ただし、研究対象者及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として、倫理審査委員会の意見を受けて学長が許可したものについては、この限りではない。
2 研究責任者は、人を対象とする生命科学・医学系研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表しなければならない。また、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、結果の最終の公表を行ったときは、遅滞なく学長へ報告しなければならない。
(インフォームド・コンセントを受ける手続き)
第12条 研究者が人を対象とする研究を実施するときは、指針の手順に準じてインフォームド・コンセントを受けなければならない。
(利益相反の管理)
第13条 研究者等は、人を対象とする研究を実施するときは、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告し、透明性を確保するよう適切に対応しなければならない。
2 研究責任者は、人を対象とする研究であって、商業活動に関連し得る研究を実施する場合には、当該研究に係る利益相反に関する状況を把握し、研究計画書に記載しなければならない。
3 研究者等は、前項の規定により研究計画書に記載された利益相反に関する状況を、指針で規定するインフォームド・コンセントを受ける手続きにおいて研究対象者等に説明しなければならない。
(研究に係る試料及び情報等の保管)
第14条 研究者等は、研究に用いられる情報及び当該情報に係る試料を正確なものにしなければならない。
2 研究責任者は、人体から取得された試料及び情報等を保管するときは、次項の規定による手順書に基づき、研究計画書にその方法を記載するとともに、研究者等が情報等を正確なものにするよう指導・管理し、人体から取得された試料及び情報等の漏えい、混交、盗難、紛失等が起こらないよう必要な管理を行わなければならない。
3 学長は、人体から取得された試料及び情報等の保管に関する手順書を作成し、当該手順書に従って、当該研究機関が実施する人を対象とする研究に係る人体から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。
4 研究責任者は、前項の規定による手順書に従って、第2項の規定による管理の状況について学長へ報告しなければならない。
5 研究責任者は、情報等について、別に定める期間、適切に保管しなければならない。また、仮名加工情報及びその作成に用いられた個人情報から削除された記述等及び個人識別符号並びに個人情報保護法第41条第1項の規定により行われた加工の方法に関する情報(個人情報保護法第41条第1項の規定により行われた加工の方法に関する情報にあっては、その情報を用いて仮名加工情報の作成に用いられた個人情報を復元できるものに限る。)並びに匿名加工情報及びその作成に用いた個人情報から削除した記述等及び個人識別符号並びに個人情報保護法第43条第1項の規定により行った加工の方法に関する情報の保管(削除情報等又は加工方法等情報については、これらの情報を破棄する場合を除く。)についても同様とする。
6 学長は、人体から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には、特定の個人を識別することができないようにするための適切な措置が講じられるよう必要な監督を行わなければならない。
(モニタリング及び監査)
第15条 研究責任者は、人を対象とする生命科学・医学系研究の信頼性の確保に努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う人を対象とする生命科学・医学系研究であって介入を行うものを実施する場合には、学長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、モニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。
2 研究責任者は、学長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより適切にモニタリング及び監査が行われるよう、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者に対して必要な指導・管理を行わなければならない。
3 研究責任者は、監査の対象となる人を対象とする生命科学・医学系研究の実施に携わる者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。
4 モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。また、監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び学長に報告しなければならない。
5 モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
(雑則)
第16条 この規程に定めるもののほか、人を対象とする研究の実施に関し必要な事項は、学長が別に定める。
附 則
1 この規程は、平成30年6月1日から施行する。
2 国立大学法人東京農工大学ヒトを対象とする研究に関する倫理委員会要項(平成18年4月1日制定)は、廃止する。
附 則(令和4年11月7日規程第57号)
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この規程は、令和4年11月7日から施行し、令和4年4月1日から適用する。
附 則(令和7年7月1日教規程第38号)
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この規程は、令和7年7月1日から施行する。