ジャイロイド(Gyroid)極小界面とは、立方格子を三次元的に連続した一枚の面で等分割する非常に興味深い構造である。ジャイロイド構造は、自 然界にも存在し、また、液晶・ブロックポリマー・様々な多孔質材料において観察される。近年、有機・無機合成化学の飛躍的な発展を受け、多種
多様な次元秩序を持った材料が生み出されてきたが、ジャイロイド構造の持つポテンシャルの全貌は未だ見えていない。
私たちの研究室では、このジャイロイド(Gyroid)構造に着目した新しいサイエンスを追求しています。ジャイロイド構造を創り出すことで生み出 される現象・機能・科学を探求し、研究を進めています。特に、液晶の自己組織化を利用したナノ構造創成技術を用いたジャイロイド構造の設計に注力して研究を進めている。
ジャイロイド構造を形成する液晶を双連続キュービック液晶といい、これまでイオン液体骨格を液晶分子設計に用いるといったアプローチにより、 多種多様な機能性双連続キュービック液晶の創成とその機能発現について報告してきた。例えば、ジャイロイド構造が形成する三次元チャンネル構造の利用や三次元極小界面を用いたプロトン輸送などについて先駆け的な研究を進めている。
主な研究展開として、
1) 三次元Gyroid界面を用いたプロトン伝導場の創成
2) 立方対称性が生み出す機能創成
3) Gyroid界面に沿った物質輸送
4) 三次元ネットワークチャンネルの利用
を進めています。
研究展開
当研究室でのこれまでの研究の流れを まとめた図になります。
研究紹介
私たちの研究室では、分子の自己組織化を利用したジャイロイド構造の創成と革新的な機能の開拓に向けて幅広く研究を進めています。特に、イオン液体研究で進められてきた「イオン設計」を液晶分子設計に組み込むことで、双連続キュービック相を生み出す材料設計を多数世界に先駆けて進めています。これらの分子は個々の分子としては特異な機能は発現しませんが、分子が集合構造を形成することで、構造由来の機能を発現するため、如何に集合構造を制御するかが鍵となります。以下に、私たちの材料設計を紹介します。
表紙に採用された論文紹介
[11] 界面プロトンホッピング伝導を利用した高速プロトン伝導
[10] 界面プロトンホッピング伝導を利用した高速プロトン伝導
[9] イオン液体のLCST型相転移を利用した凝集誘起発光(Aggregation-Induced Emission)制御
[8] H+を高速で流すがH2を非常に弾くジャイロイド構造膜の開発
[7] ジャイロイドナノ構造を持つソフトな高分子膜の開発
[6] 自己組織化溶媒としてのアミノ酸イオン液体の有用性
[5] ジャイロイド構造膜を用いた水の三次元ナノシート
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[4] 自己組織化材料の基幹物質としてのZwitterionの有用性
[3] Zwitterionを用いたGyroid極小界面の設計と機能場の創成
[2] アミノ酸イオン液体を溶媒とした自己組織化システム
[1] Zwitterion(双性イオン)を用いた両親媒性分子設計とその自己組織化制御