活動報告

2010年7月FOLENSセミナー:FM多摩丘陵訪問~「環境」「科学」「現場」の意味を考える

2010年7月28日、第2回FOLENSセミナーを開催し、8名の学生と3名のスタッフが、FM多摩丘陵を訪れました。FM多摩丘陵は、本学フィールドサイエンス教育研究センターが持つ8か所のフィールドミュージアム(FM)のひとつです。

今回のセミナーの目的はふたつ。ひとつは、「環境」「科学」「現場」の意味をどう理解することができるか考え、将来の環境リーダーとして自分たちの哲学的土台を見直すということ。そしてふたつめは、FM多摩丘陵で現在行われている研究活動や今後の可能性について学ぶということでした。

真夏の強い日差しのもと、最寄駅から20分ほど歩いて到着したFM多摩丘陵では、ここに常駐されている原宏教授と学生さんが、FOLENSメンバーを温かく迎えてくださいました。

セミナーは、原先生による講義で始まりました。FM多摩丘陵の地理的環境や研究設備等の紹介の後、「環境」、「科学」、「現場」の意味をどう考えるべきか、哲学的なお話がありました。科学と社会をつなげつつ結果と対策を意識する必要があること、問題を理解するために現場に立つ必要があること、知識が不十分な状態でも決断を下さねばいけない場面があること、これら3つが環境科学者の要件であるとの指摘がありました。また、現場での活動は「各人の世界観」を活性化し、そうした世界観が科学者としてオリジナルの研究に取り組むうえでの土台となるというお話もありました。

講義の後は、原先生のご案内によるFM多摩丘陵散策です。18メートルの高さがある研究用タワーを上る体験には、2名の学生が挑戦しました。

散策を終えた後のディスカッションタイムでは、各学生より原先生に対し、FM多摩丘陵の研究活動や講義で話された哲学的議論について、活発な質問がありました。

最後に、先日「ITTO/IUCN/JICA共催公開討論:人為的な影響を受けた地域における生物多様性保全」に参加してきた3名の学生より内容の報告があり、終了となりました。

学生のコメントより

多摩丘陵を実際に訪れたこと、自然を感じたりフィールドでの研究の意味を学ぶことができたことが、自分にとってよい経験になりました。現場で得たものをどう使い、どう考えればよいのかということを学びました。環境を科学を用いて考えるときの意義について理解することができました。星座の話が興味深かったです。

フィールドを訪問することが楽しかったです。このセミナーを通じて、科学に対する精神的な考え方を学びました。このトピックは非常に興味深いです。

多摩丘陵に行くのは初めてで、大気化学の研究についても学ぶことができたので、今回のセミナーはとても面白かったです。とても高いタワーや、生態系に関する長期調査についても興味深かったです。原先生の環境問題や科学哲学、環境学の特徴に関する講義もとても興味深かったです。今回のセミナーで私が学んだ3つの重要な点は、環境問題は人為的活動によるものだということ、酸性雨あるいは酸性沈着が環境問題のひとつとなっていること、そして現場は理論や実験よりも経験を与えるものだということです。

2010年7月FOLENSセミナー
日時 2010年7月28日14:00-17:00
場所 東京農工大 フィールドミュージアム(FM)多摩丘陵
プログラム
13:30- 京王線平山城址公園駅集合、FM多摩丘陵まで徒歩移動
14:00-

FM多摩丘陵へ到着
はじめに:今日の予定

14:05- 講義:原宏教授(農学府)
15:00- FM多摩丘陵散策
15:45- 休憩
16:00- フリーディスカッション
16:45- 「ITTO/IUCN/JICA共催公開討論:人為的な影響を受けた地域における生物多様性保全」参加学生による報告
17:00 終了

 

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