研究分野

斎藤研究室では,コンピュータグラフィクス(CG),情報可視化,映像処理,形状処理などを主たる研究分野としています.
特に,人間に対する効果的な視覚情報伝達や,画像生成処理の新しい応用を目指して研究を進めています.

研究例

非写実的画像生成

写真撮影した顔画像をイラスト風,ペン画風,墨絵風などに描くイラスト風顔画像生成や, 通常の地図ではわからない遠方の情報を統合表示したデフォルメ地図の生成3DCGのアニメ風シェーディングなど,非写実的な画像の生成を行っています.

研究例

時系列画像処理

植物生長の動画像や,監視カメラの動画像,料理のレシピの動画像など,静止画と比較して総覧や検索が困難な動画像を扱っています.
動画像や時系列画像中の動きや変化の情報を静止画としてわかりやすく提示する研究や,動画像と文字を組み合わせた効率的な情報提示を行う研究を行っています.
他にも,動画像からルートパノラマを作成する研究なども行っています.

研究例

情報可視化

気温変化や,株価の変動など,大規模な情報を文字や数値ではなくグラフや図を用いて視覚的に提示する,大規模情報のコンパクトな可視化などを行っています.
また,遠くからは概要情報が,近くからは詳細情報が,同一の掲示物から読み取れるようなハイブリッド掲示板などの研究を行ってます.

研究例

形状処理

意匠デザインにおいて美しいとされる曲率単調な「対数美的曲線」,「対数美的曲面」の生成や,3D形状の処理を行っています.
既存のCG,CADシステムでも美しい曲線を扱えるようにする研究,曲率をより自由に制御できるようにする研究, 視点により異なる図柄が見える表面形状の作成といった研究を行っています.

研究例

斎藤研究室では,コンピュータグラフィクス(CG),情報可視化,映像処理,形状処理などを主たる研究分野としています.
特に,人間に対する効果的な視覚情報伝達や,画像生成処理の新しい応用を目指して研究を進めています.

非写実的画像生成

イラスト風画像生成

写真撮影した顔画像をもとに,イラスト風に描く技術を研究しています. 画像を,大まかな濃淡変化(低域成分)から細かい濃淡変化(高域成分)まで,いくつかのスケールに分けて処理することにより, ペン画風画像や墨絵のような陰影画像が得られます.これらを合成し,あるいは元の画像の色成分を付加すると,様々な表現が得られます. 自己紹介ページや名刺などに,顔写真よりも抵抗感なく使うことができます.

遠近を統合表示したデフォルメ地図

通常の(2次元的な)地図は,真上から見て描いたもので,2点間の距離や方角がわかりやすいという利点があります. しかし,範囲外の遠方の情報が全くわかりません. そこで,通常の地図の外側に遠方の地形をデフォルメ表示した,新しい地図描画法を研究しています. 近隣の情報と同時に,遠方の山の形や都市の方角も把握できるほか,表示する地域(地図の中心)の変更も容易に行うことができます.

時系列画像処理

植物生長情報の可視化

動画像は,静止画と比較すると,総覧や検索が非常に困難です. そこで,動画像や時系列画像中の動きや変化の情報を,静止画としてわかりやすく提示する研究を進めています. 例は,イネを発芽から10日間程度にわたり固定カメラで撮影した時系列画像をもとに, 葉や根の生長過程を1枚の静止画として可視化したものです. これによって,動画像を早送りすることなく,生長の概要を一目で確認することができます. さらに,この画像に生長曲線を当てはめることで,生長の定量的な分析も行えます.

監視カメラ画像の集約提示

長時間撮影した監視カメラ画像から不審者などを調べるには,膨大な手間がかかります. そこで,一定時間内に画面に写った移動物体を,静止画としてまとめて提示する「集約画像」という手法を提案しています. 1枚の集約画を見るだけで,その間に通った人や車両を確認できます. 集約画像の時間間隔を,1時間,10分,1分と変えて作り,階層的に見せることで,わずかな手間で詳しい情報まで得ることができます.

乗り物からの景観のルートパノラマ

ルートパノラマとは,移動する乗り物から見える景観を動画像として撮影し, 絵巻物のように1枚の静止画としてつなげたもので,観光などへの応用が期待できます. 市街地の道路沿いに車から撮影した場合は,道路から一定距離の建物が景観の主体であるため,作成は比較的容易です. しかし,電車や船からの景観では,距離の異なる多様な対象物があり,そのすべてを適切に1枚の静止画に収めることは極めて困難です. 図は,主要な対象物に合わせて横幅を調節することで,船からのルートパノラマを作成した例です.

情報可視化

大規模情報のコンパクトな可視化

同じ情報でも,文字や数値で提示するよりも,グラフや図を用いて視覚的に提示する方が,より直観的に伝わります. しかし,描画面積の制約から,一度に提示できる情報量は限られます. そこで,1次元情報を対象に,狭い範囲に大規模な情報をわかりやすく提示できる「2色塗り分け擬似カラー表示」という手法を提案しています. 1つの値に2つの色を割り当てることで,大まかな変化も細かい情報も正確に読み取ることができます. 図のように,1年間の気温変化を1時間単位で測定したデータも,わずかこれだけの面積で表示できます.

ハイブリッド掲示板

掲示板に小さい字で何か書かれているので,近くに寄って確認したら,自分には関係なかった,という経験はありませんか? それを防ぐために,遠くからは概要情報が,近くからは詳細情報が,同一の掲示物から読み取れるような掲示板を研究しています. この掲示板は「ハイブリッド画像」の応用例であり,人間の眼の感度が空間周波数に依存するという性質を用いています. 遠くから見ると詳細情報が消え,近くから見ると概要情報が気にならぬよう,文字のサイズやぼかし方を工夫しています.

形状処理

曲率単調な美的曲線・曲面の生成

意匠デザインにおいて,美しい曲線・曲面形状を生成するには,その曲がり具合(曲率の変化)が重要な要因となります. 一般に曲率が単調に変化する曲線が美しいとされていますが,既存のCG・CADシステムで曲率を思い通りに操作することは困難です. 私達は,実在する種々の美しい曲線が持つ性質を使った「対数美的曲線」や,それを拡張した「対数美的曲面」の生成・制御手法を研究しています. さらに,曲率をより自由に制御できる曲線・曲面の新しい理論体系の構築にも取り組んでいます.

視点により異なる図柄が見える表面形状の作成

板などの表面に凹凸形状を彫り込んだレリーフは,視点や光源の方向によって見え方が変わります. このとき,形状を工夫した微細な彫り込みを行うことで,複数の視点あるいは光源方向ごとに,表面の明るさを独立に制御することが可能となります. 例は,板の上方に光源を配置し,前後左右の4つの視点方向から見たときに,それぞれ異なる文字や絵柄が見える表面形状を作成したものです. 表面に着色することなく,表面の微細な幾何形状の違いだけで,このような不思議なレリーフが作成できるのです.