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ステントモータ

 ステントモータ(Fig.1)はレシーバ部で超音波振動を受信し、それを駆動力としてステータ部が回転し直進するモータである。冠動脈ステント留置術において血管内で使用するために研究しているモータである。


構造と駆動原理

ステントモータは、超音波を受信するレシーバ部と、それを回転の駆動力として出力するステータ部で構成される。そして、2つのレシーバを、ステータで結合した形をしている。レシーバ部は、共振した際の振幅を大きくするために、円筒にスリットの入った形状をしている。ステータ部はコイル形状をしており、コイルの径はレシーバ付近に比べ、中央部が大きくなっており、この部分が血管内壁と接触する。
  駆動原理(Fig.2)は、まずレシーバに超音波振動を照射することでレシーバが共振し(Fig.3)、その振動によりステータに進行はが発生する。このとき、ステータの表面の質点が楕円軌道を行う。この楕円軌道と血管内壁が接触すると摩擦力が発生してモータが回転し、血管内を移動する。




                Fig.1 ステントモータ

   
  Fig.2 ステントモータの原理  Fig.3 レシーバの振動解析 
ステントモータの開発目的
動脈硬化などで心臓の冠動脈に十分な血液が流れない状態になると、心臓はエネルギー不足に陥る。これを虚血状態という。近年、虚血性心疾患による死亡者は増加傾向にある。現在、虚血性心疾患の治療法として、ステントを用いた冠動脈ステント留置術がある。これはまず,先端にバルーンがついたカテーテルを側腕部または大腿部の血管から挿入する.そして患部でバルーンを膨らまし,ステントを留置することで血管の内腔を保持するという治療法である.しかし,ステントを留置した場合でも,患部付近で冠動脈が再狭窄してしまい,ステント留置術の再施行が必要になる場合がある.この問題を解決するため、当研究室ではステントモータを開発している。ステントモータは体外からの超音波照射により血管内を摺動する。これにより、患部付近の再狭窄に対応できると考えられる。



 
Fig.3 ステントモータを用いた冠動脈ステント留置術の概略

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