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村石 貴彦(MURAISHI Takahiro)
研究紹介
修士論文:「広葉樹引張あて材形成におけるジベレリンおよびブラシノステロイドが木部組織構造に及ぼす影響に関する研究」樹木は動物と異なり、自身を好適な環境に移動させることができないため、生育場所で受けるストレスに適応する能力が備わっています。例えば、樹木の姿勢が強風や急な傾斜によって姿勢変化(重力方向の変化)を余儀なくされたとき、姿勢を徐々に回復させることが知られています。このような場合に形成される木部では、通常とは異なる組織構造がみられ、「あて材」と呼ばれています。一般的にあて材は針葉樹で圧縮あて材、広葉樹で引張あて材が形成されます。しかしながら、引張あて材の構造には樹種による多様性があり、ホオノキやユリノキなど一部の広葉樹では、典型的な引張あて材とは異なる構造がみられることが報告されています。
重力や応力などの物理刺激は、植物ホルモンを介してあて材形成を促すと考えられており、広葉樹では重力刺激伝達物質としてジベレリンが関与していると考えられています。しかしながら、広葉樹が重力刺激を感受してから姿勢の回復が行われる過程で、ジベレリンが重力伝達物質としてどのように機能しているのかは未だ解明されておらず、他の植物ホルモンも同様の役割を有している可能性もあります。
本研究では、広葉樹のあて材形成におけるジベレリンおよびブラシノステロイドの重力刺激伝達物質としての役割を知ることを目的として、これらの植物ホルモン処理のみであて材が形成可能かどうか、さらにはこれらの植物ホルモンの生合成阻害剤処理を行った後に苗木を傾斜し、あて材形成の有無やその特徴について顕微鏡による解析を行いました。
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