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本屋さん活況に思う 

 今回の緊急事態宣言は425日に発出されたが、それに伴い床面積の合計が1000平方メートルを超えるデパートや商業施設に対し、(当初は)休業が要請された。それを受けて国分寺のマルイ・セレオも生活必需品売り場を除き臨時休業に入った。国分寺周辺の方はご存知かと思うが、ここには紀伊國屋書店があって、ときどき訪れては冷やかしたり衝動買いをしているのだが、最後の営業日である土曜日の夕方に店を訪れてみるとレジに長蛇の列ができているのを見た。長年、通った店だがレジから二重、三重のつづら折になった列を見たのは、そのときが初めてだった。たくさんの人が書籍を購入しているのを目の当たりにした・・・。

 全国出版協会・出版科学研究所のデータによると、紙の出版物の売り上げは、2019年は前年比4.3%減の12360億円でピークだった1996年の半分をすでに切るという状況だったが、2020年は前年比1.0%減に留まったという。コロナ禍での生活様式の大きな変化が一つの要因と考えられ、要は時間さえあれば日本人は紙の本を読むということで、昔からの習慣を失くしておらず、「時間さえあれば」単純な効率化だけでは説明できない何かを求めているという証左となろう。

 脳科学者の川島隆太教授の指摘のように、「より面倒で厄介な方法」のほうが、脳の活動は活発になるそうで、たとえ、同じ内容の文章を読むときにも、PCの画面を使う場合と、紙の上の文章を読む場合では、理解が違うことがあるという。きっと必要とされる集中力が違うことが原因ではと推察する。逆にいうと紙の内容を理解するためには、外的及び内的な雑音を排除しないといけないということなのだろう(より面倒で厄介。個人の印象です)。「紙」に印刷すると間違いに気がつくというのも、その原因には諸説あるが、訂正作業には「赤鉛筆」を使って「書く」という(面倒な)動作が伴うため、さらに集中力が高まるのだろう。やはり情報発信を目的とした文章は、まちがい・思い込みを細心の注意で排除することが必要で、その作成時には、紙に印刷して推敲する作業が必要なのだろう。クールダウン(頭を冷やす)効果と相まって文章の完成度は上がっていくことだろう(そのためには締め切りの数日前には、印刷を終えて整理整頓された机の上に、並べておくことが不可欠で、ここが一番難しいところです)。

 今回の騒動の結果、私たちが属するコミュニティー(大学、学会)では「電子化」への流れが、急速に加速したことは確かで、それに抗することは難しいだろう。個人的には、流れについていくのがやっとという状況ではあるが、行き過ぎた合理性には流されないことも大切かなとも思っている次第です。

 以前の雑文「御茶ノ水について」に書いたように、「時間があれば、この本読めるけど」と思いつつも、今回も「本」を買っているわけだが、同時に階下のLOFTで使う頻度は少ないけど消しゴム、ノート、平面拡大レンズを買ったり、学会などで遠征したときは、ご当地の栞を購入し満足している。気取った言い方をすれば、知的生活に関わるグッズはとりあえず、取り揃えておきたいという潜在意識があるのだろう。「時間さえあれば」と上述したが、「時間は作るもの」ですよね。

    
フレネルの功績のところで紹介した平面拡大レンズ

 

おまけ(前回と引き続いて折り紙系です)

 下図は二枚の合同の正方形を重ね合わせた状態を表している。正方形の辺の長さは?

         

 

解答例

図に表れてくる直角三角形は相似である。従って赤の点線で示される図形は正方形であることがわかる。重なってできる八角形の辺のうち、未知の6辺の長さをa, b, c, d, e, fとする。点線の正方形の辺の長さをL’とすると

      L’=L+(12/25)a+(12/25)d

となり、重ねる正方形を平行移動してもL‘は一定である。したがって、a+dの値は一定。b, eについても同じことが言えるので、a+d=b+eとなる。緑の点線の正方形は赤の点線の正方形と合同であり、同様に、c+f=12+25=37 。ここから a+d=b+e=c+f=37

元の正方形の辺の長さをLとすると

   L=(3/5)f+a+48/5
    L=(36/5)+b+(4/5)c
    L=(3/5)c+d+20
    L=15+e+(4/5)f

辺々足し算すると

   4L=(a+d)+(b+e)+(7/5)(c+f)+259/5=37+37+259/5+259/5=888/5   →L=222/5  (答)

    

 (2021.6.13)