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若手について

 彼此10年も前の話だが、BASEの修士1年生の学外研修で千葉の農家のコミュニティーを訪ねたとき、リーダーの方から栽培や流通手法の改良や改革について「最近、若手が頑張ってくれていて・・・」という話を伺った。さらにそのコミュニティーでは「若手」とは会社等を定年退職され、実家の農業を本格的に始めた方々を指すことも知った。確かに若手の定義は、そのコミュニティーの年齢構成、構成員の気持ちの持ち方(自称若手のような)で変わってくる。

 大学などのアカデミックの世界では感覚として45歳ぐらいまでが、若手枠に括られるようで、前述の農家コミュニティー(及び国会議員の先生方)ほどではないが、実業界からみるとちょっと高年齢側に偏っているといえる。各学会でも若手を奨励する賞が贈呈されるが、その“上限”は学会によって異なっている。きちんと調査したわけではないが、自分の知っている限りでも、35歳ぐらいから50歳ぐらいまでばらついており、なかなか興味深い。文壇では「若手」の登竜門と言われる「芥川賞」や各種の新人賞が贈られるが、年齢というより、そのコミュニティーの構成メンバーの主観(あいつはそろそろ的な感じ)によるところが大きいと感じる。

 当たり前の話だが、現役を引退したら新しい人生が待っているスポーツ界では「若手」は、圧倒的に若年側に偏っている。まさに身体能力が大きく物をいい27、8歳で「ベテラン」といわれるサッカー、ラグビーと比べて技能の占める割合が大きい野球では、若干遅めの30歳ぐらいでベテランと呼ばれるようになる。若い人たちが大活躍の女子の卓球界では、1993年生まれの石川かすみさんが若手どころか大ベテランのような扱いをされて、若くして重責を負っている感があり、それはそれでたいへんそうだなと思う。

 以前の拙文でも書いたとおり、私は、環境の変化についていけない「ゆでガエル世代」(どっぷり50代)ということで、大学組織の中では「中堅より少し上ぐらい」に属していると思われる。組織運営ということを考えた場合、年相応の役割があるため、様々なことに時間を割かれるのはある程度、やむを得ないことと自覚している。ただ、研究者の端くれとして「チャレンジングな気持ち」は忘れず、これからも学生さんたちといっしょに「新しいこと」に挑戦してことは忘れないでいたいと常々思っていて、なによりも学生諸氏を含めた「若手」の皆さんの足を引っ張るようなことだけは、なんとしても避けないという気持ちは加齢とともに、どんどん強くなってきています・・・。

 故堀江一之先生(東大時代に学位論文でお世話になりました)からこんな話を伺ったことがある。大学セミナーハウスで開催された若手研究会に参加して、夕食のため食堂に出向いたとき、団体のテーブルのテリトリーを示す看板に「高分子苦手研究会 様」と書いてあるのを見て苦笑する以外なかったという話である。自称「若手」も少なからずいらっしゃったということだが、「苦手はないよね」といって楽しそうに話されていたことをよく覚えている。看板を書いた人の間違いの原因は知る由もないが、洒落で書いていたとしたら、なかなかセンスがあると言わざるを得ない(ブラックだけど・・)。

注)今は無くなってしまっているが、BASEの修士1年生は9月の終わりぐらいに学外研修と称して、バス旅行に出かけていました。同窓会等から援助をいただき、当初はイベントとして最後の数年間は授業の一環として実施されていました。基本は農学系、工学系の事業所等を一箇所ずつ見学する日帰り旅行でした。自分も何回か世話役をやらせていただいて、学生さんといっしょに千葉、埼玉、山梨などに出かけていました。無くなってしまったのには、いろんな理由がありますが、なんとか形を変えてでも復活したいなと個人的には思っています。





おまけは、図形の問題です(ちょっと簡単かなー)。

問1)下の図は一辺の長さが1cmの正三角形のタイルが敷かれている。以下の問に答えなさい。

  

①タイルの枚数は何枚ですか。
②赤線で示されている正三角形のタイルの枚数は何枚ですか。
③赤線の正三角形の一辺の長さは何センチですか。

問2 図のような正方形があり、その内部に4分の1の円を2つ書き、さらにそれらに内接する正方形を入れ込む。外側の正方形の辺の長さを5寸とすると、内側の正方形の辺の長さを求めよ。

  









解答例

問1)
①下の図のようにタイルを敷き詰めてみる。



平行四辺形のタイルの枚数は一列あたりのタイルの枚数が22枚でそれが11列あるので(22x11)=242枚となる。したがって求める三角形のタイルの枚数は242÷2=121枚(答え)

 ②求めたい三角形の面積は全体から緑で示した部分を引き算した部分の面積である。

  

 また、緑の部分の面積は数の黄色の部分の面積の半分であるから

  


 緑の部分の面積(タイルの枚数)=(16x3)÷2x3=72
 ゆえに求めるタイルの数は121-72=49枚(答え)

③一辺が11 cmで121枚なので49枚の三角形の一辺は7cmとなる。


問2)(福島県田村郡船引町稲荷神社の算額です。江戸時代に数学者や数学愛好家は難問が解けると、額や絵馬に和算の問題と解答を書いて、神社仏閣に奉納した。その背景には問題が解けたことを神様仏様に感謝するとともに、自分の業績として世の中に知らしめるという目的もあったようです。非常に日本的な文化なようで世界的にも例がないようです)

 
 
図のように大きな正方形の辺の長さをa、求める正方形の辺の長さをxとすると、△ABCを考えると三平方の定理から、3寸と求まる(答)(絵馬には「外正方形の辺の長さに0.6を掛ける」と一般化されている)

(2018.9.9)