CFRPは炭素繊維とプラスチック(樹脂)から構成されるため、本質的に耐摩耗性や耐粒子エロージョン性には劣ります。そのため、例えば航空機用ターボファンエンジンのファンブレードやヘリコプターの回転翼ブレードでは、ブレードの翼端部(エッジ部)には金属製のリーディングエッジが適用されています。
研究室では、JAXA宇宙探査イノベーションハブで進められている宇宙用軽量建機(建設機械)の研究開発プロジェクトに協力しています。このプロジェクトでは、アームやブーム、車体、足回りなどにCFRPを適用することで、車両重量の低減を目指しています。建機の使用環境を考えると、CFRPの耐摩耗性向上も重要な技術課題となります。
具体的には耐摩耗性向上を目的として、(1) CFRP表面へのコーティング、(2) CFRP表面への硬質ゴムライニングなどについて検討しています。SiC粒子(サンドベーパー)による摺動磨耗試験と、硅砂のサンドエロージョン試験によって、耐摩耗性および耐粒子エロージョン性の評価を行うとともに、コーティング層やゴムライニングの強度特性の評価も実施しています。

サンドエロージョン試験結果の例(速度56 m/s、サンド量 10g、粒度 0.24-0.5 mm)