次世代エネルギーとして期待されている水素ですが、その普及において水素貯蔵技術の確立が重要になっています。液体水素として貯蔵する場合は、-253℃という極低温環境となるため、貯蔵容器や配管などに用いられる材料や構造を極低温で評価することが不可欠となります。しかしながら国内には、評価設備がほとんどないのが現状です。
研究室ではJAXAと共同で極低温試験装置の開発に取り組み、M2藤城さんがヘリウム冷凍機を適用することで小型の試験片を30K(-243℃)まで冷却することが可能な引張り試験機を新たに開発しました。
空気が液化してしまう温度域のため試験は真空中で実施します。真空容器ののぞき窓から試験片の観察が可能です。アクチュエータが2台搭載されており試験片の両端から荷重を負荷する方式であるため、試験片の相対位置が動かず、デジタル顕微鏡によるCFRPの微視的損傷進展のin-situ観察が可能です。最大荷重は引張り2 kNです。30 KでのCFRPの微視的損傷進展(マトリクスクラック)観察にも成功しています。