炭化ケイ素(SiC)繊維強化SiC複合材料(SiC/SiC)複合材料は、ニッケル基耐熱合金と比較して比重が小さく高温での力学特性に優れた材料であり、海外の航空エンジンメーカーにおいてエンジン高温部への適用が進められています。
研究室では、JAXAと共同で、SiC/SiC複合材料の高温における損傷・破壊挙動に関する実験的な研究と、損傷・破壊・寿命予測モデリングに関する研究を行っています。
SiC/SiC複合材料の評価試験は、真空、不活性ガス、大気、水蒸気などの各環境下で、また1000℃を超える高温度域で、数百時間にわたって実施する必要があります。試験中には数μm~数十μmという微視的な損傷の発生や進展を、詳細に観察・評価することが要求されます。これらの実験ノウハウは未だに確立しているとは言えないため、JAXA等と共同で試験装置の開発、デジタル画像相関法(DIC)やX線CTを適用した微視的損傷評価技術などの研究を行っています。更に関連研究として、単繊維や繊維束によるSiC繊維の強度評価、SiC繊維の強度に及ぼす温度暴露の影響などについての研究も進めています。
損傷・破壊・寿命予測に関しては、実験結果に基づいた物理・化学現象の数学モデル構築と、微視的構造を考慮した損傷シミュレーションに取り組んでいます。