わたしたちの研究室は,生物多様性の保全に寄与する研究を,特に空間的な広がりや配置,時間的な生態系の変化に注目して行っています.
「景観生態学」という研究室名ですが,空間的な広がりをもった現象を扱うのであれば,スケールの大小(例えばいくつかの生息地の集まり~全国,アジアスケール)や,既存の景観生態学という学問領域(そもそも厳密な境界はないと思いますが)にはこだわりません.また空間的な広がりの変わりに時間的な広がりに注目した課題を扱うこともありますし、時空的な展開をする前の段階の研究では、比較的狭い調査地を対象とした課題を扱うこともあります。
また,生態学的な研究だけでなく,生態学的な知見に基づいて,「どこにどんな保全区域を設定するか」や「どこでどんな形で保全努力をするか」といったいわゆる保全計画を含む保全科学に関わる課題を広く取り扱います.そのため研究課題によっては本人が希望すれば社会科学的なアプローチをとることもあります。学振などのポスドクは、生態学をはじめとした自然科学だけでなく、社会科学をバックグラウンドして保全科学に取り組みたい方も受け入れを歓迎します。
研究対象とする生態系は,森林や淡水域から,高山に至るまで多岐にわたっており限定しませんが,対象生物は主に植物とする予定です(強い希望と実行力があれば他の分類群の生物も対象とすることも相談次第では可能です)。
保全を目指すからには「保全のために,どこで何をすべきか」という問いに答えることが一つの目標になりますが,研究室のメンバーには,基礎学問としても面白く価値があり,かつ生物または生物多様性の保全計画に貢献できる という欲張りな研究を目指してもらいたいと思います.また、研究成果は世に出して初めて役に立つものになるという考えから、積極的に卒業・修了研究を学術雑誌((できれば国際誌)へ積極的に公表することとしています。
修士課程もしくは博士課程からの受入ももちろん可能ですが、その場合は(必須ではありませんが)、植物の同定技能を含むフィールド調査能力、GISやプログラミングといった情報処理能力、もしくは統計分析などのデータ解析能力など、少なくとも一つは自分の武器になる能力があることが望ましいです。
研究は上のような複数の段階を経て完結しますが,この過程で多くのことを習得できると考えています.
研究室で得られる可能性の高いこと
- 生物多様性を保全するための基礎知識
- 科学的に物事を考え,表現することの基本
- 野外調査の技術・経験
- 地理情報システム(GIS)の技術
- プログラミングの技術
- ニュースなどで示される統計値のごまかしを見破る力
- 折れにくい心
- 研究を通じた学外の友人
2012年度から学生の配属が始まった比較的新しい研究室です。研究室の指導方針や研究の内容などから向き,不向きが出てくるでしょうが,以下を参考にしてください.
当研究室に向いていると思います(予想!)
- 職業/ライフワークとして生物,生物多様性の保全に関わりたいという強い意志を持っている人
- 感情論ではない形で保全に貢献したい人
- 自分の事を積極的に自分でできる人
- 厳しい指摘をされても,それを取り入れてさらに先に進める人
- フィールドで動き回るのが楽しい人
- 生き物を見ること,探すこと,接することが大好きな人
- 英語の文章の読み(書き)を恐れない人
- 周りに流されず,自分のやりたいことを貫ける人(≠自分勝手,我儘.)
- 前例にとらわれず,当たり前・常識を疑える人
- 人のやってない,変わったことをやること・考えることに喜びを感じる人
当研究室には向かない可能性が高いです(予想!)
- サークル・アルバイトを優先したい人(生活のために必須なアルバイト等は応相談)
- 就職活動に専念する時間が沢山欲しい人
- 言われたことをそのまま着実に遂行することに至高の喜びを感じる人
- 指導教官が就職先を斡旋することを期待している人
※それなりに要求が多いですが,それでも我こそは!という人をお待ちしています.
手取り足取りはしませんが,少数精鋭の研究室なので精一杯指導します!!