◎ 大津直子農学研究院助教が日本土壌肥料学会奨励賞および
日本農学進歩賞を受賞

 9月8日(水)、日本土壌肥料学会において、また、11月22日(月)、財団法人農学会において、大津直子農学研究院助教による発表「植物の硫黄栄養応答機構とグルタチオン代謝の分子生理学的解析」が、日本土壌肥料学会奨励賞および日本農学進歩賞を受賞しました。
 日本土壌肥料学会は、食糧の生産に深く関係している土壌学、肥料学、植物栄養学の近代的な理論と技術体系を構築することを目的として、1927年に設立された学術団体です。日本土壌肥料学会奨励賞は、土壌学、肥料学、植物栄養学およびその関連分野に関する優れた研究成果を得た満40才未満の研究者を対象として、毎年約5件を顕彰するもので、同学会の年次講演会における表彰式では、賞状と記念品が授受され、30分間の受賞記念講演が行われました。
 財団法人農学会は、寄附行為に定められた目的を達成するために農学に係わる学協会の連合体である日本農学会、大学の協議体である国立大学農学系学部長会議、日本学術会議、その支援を受けた日本農学アカデミー等の組織と連絡を取りながら農学教育の向上を目指した活動を展開している団体です。同学会の日本農学進歩賞は、人類と多様な生態系が永続的に共生するための基盤である農林水産業およびその関連産業の発展に資するために、農学の進歩に顕著な貢献をした満40才未満の研究者を対象として、毎年約10件を顕彰するもので、11月の表彰式では、盾と記念品が授受され、15分間の受賞記念講演が行われました。
 日本土壌肥料学会奨励賞および日本農学進歩賞の受賞となった研究「植物の硫黄栄養応答機構とグルタチオン代謝の分子生理学的解析」では、農学的に重要な硫黄栄養に対する植物の応答の分子メカニズムおよび硫黄代謝産物グルタチオンの未知の代謝経路を明らかにしました。硫黄欠乏は世界的な問題で、収量、品質、植物の病害耐性などに悪影響を及ぼしていますが、この研究では、硫黄欠乏に応答して、代謝を遺伝子発現レベルで活性化させることに関与する因子と硫黄代謝産物グルタチオンの分解経路を同定し、酸化ストレス除去との関係も明らかにしたことから、世界的に高い評価を受けています。
 
日本農学進歩賞授賞式(前列右端:大津助教)
 
次の記事→

506号目次へ戻る