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◎ 公開シンポジウム「シカを食べて生態系を守る」を開催
 11月8日(日)、府中キャンパス農学部本館講堂において、公開シンポジウム「シカを食べて生態系を守る」が開催されました。
 このシンポジウムは、農学部附属フロンティア農学教育研究センターが主催し、近年、全国的にニホンジカが急増し、農林業被害の増加を招くだけでなく、高山植物の絶滅の危機をもたらしていること、一方、個体数調整の担い手である狩猟者は激減していることから、この問題の解決の糸口を得るために、「鹿肉食のすすめ 日本人は鹿肉で救われる」を上梓している作家のC.W.ニコル氏およびエゾシカ協会会長の近藤誠司北海道大学大学院教授を招き、講演およびパネルディスカッションが行われました。
 当日は、約270名が来場し、C.W.ニコル氏からは、人間とシカの文化的な結びつき、現在シカが日本の生態系に与えている影響、生態系保全のために鹿肉を食べることの意味等について、ユーモアを交えての講演がありました。また、近藤教授は、人類の発達にとって肉食が重要な役割を果たしたこと、肉食に対する宗教的・政治的禁忌があったと考えられている日本においても、長く鹿肉が食べられてきたこと、明治以前は鉄砲が農具として用いられてきたこと等を、詳細な資料をもとにした講演がありました。
 パネルディスカッションでは、両氏とともに、統合的な野生動物管理システム構築プロジェクト代表の梶光一教授がパネラーとなり、聴講者と意見交換を行い、特に、狩猟者やレンジャー等の人材をどう育成するかについて、活発な質疑応答がありました。
 
 
 
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