工学府小関良宏教授・山田晃世講師が、取得した新奇耐塩性遺伝子「マングリン遺伝子」導入ユーカリを第70回総合科学技術会議で紹介

 平成19年10月29日(月)に総理大臣官邸で開催された第70回総合科学技術会議において、本学工学府の小関良宏教授と山田晃世講師がマングローブからクローニングした「マングリン」遺伝子を導入して耐塩性を獲得させて作出した遺伝子組換えユーカリが、福田内閣総理大臣をはじめとする総合科学技術会議議員の方々に有用遺伝子組換え植物の例として紹介されました。
 このユーカリは(財)地球環境産業技術研究機構が経済産業省から補助金の交付を受けた平成 19年度「二酸化炭素固定化・有効利用技術等対策事業」の一部として、小関教授と山田講師がマングローブからクローニングした「マングリン」遺伝子を用い、東京農工大学、(財)地球環境産業技術研究機構、日本製紙株式会社森林科学研究所及び筑波大学大学院生命環境科学研究科が共同で行った研究成果として作出されたものです。総合科学技術会議では、「最近の科学技術の動向」の議題における「環境・エネルギー、食料問題の解決に貢献するゲノム育種」の例として、病気に強いイネとともに、塩害に強いユーカリとして紹介されたものですが、遺伝子組換え植物体であるため拡散防止措置としてケースに入れられた形での実物のお披露目となりました。
 今回の会議においては、平成 20 年度科学技術関係予算の重点化に向けた戦略の議論の中で、新規 S 施策の 1 つとして「新農業展開ゲノムプロジェクト ? 革新的遺伝子組換え作物の開発と理解促進に向けた研究」が採択され、ますますこのような有用遺伝子を用いた遺伝子組換え作物の開発が重点的に推進されることになりました。
 現在、塩害によって植物が育たなくなった地域が拡大しつつあります。また最近、世界で旱ばつによる農作物の不作が起きており、例えばオーストラリアなどで小麦が不作となり、その影響も受けて小麦粉の値上げ、さらにパン・麺類の値上げという私たちの生活に直結したところまで、その影響が及んできました。すでに小関教授と山田講師は、マングローブ以外の耐塩性植物種から様々な耐塩性や耐乾燥性に関わる遺伝子を得ており、今後、さらに塩害や乾燥に強い有用な遺伝子組換え作物が作出されることが期待されます。
 
<福田首相前で実物のお披露目(内閣府提供) <総合科学技術会議の様子(内閣府提供)
 
<マングリンを導入して耐塩性を獲得したユーカリ(内閣府提供)
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