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8月5日(日)〜10日(金)にオーストリアのウィーンで、第8回国際環境エンリッチメント会議(8th
International Environmental Enrichment Conference)が開催されました。 この会議は、2年に1度開催される飼育動物の「環境エンリッチメント」についての専門会議です。環境エンリッチメントとは、動物福祉の観点から飼育動物の生活の質(QOL)の向上のために、物理的・心理的な刺激を提示することで飼育環境をリッチ(豊か)にするための具体的な手法のことを指します。こういった取り組みをすることで、飼育動物が本来の種特有な行動を発現し、自分たちの環境を選択・制御する機会を与えることで退屈な時間や異常行動を減少させることなどを目的にしています。 世界各国から環境エンリッチメントについて取り組んでいる動物園や水族館などのスタッフ、大学の研究者や学生などが一同に会します。1993年発足という新しい学会の第8回を迎える今回の出席者は約170名に及びました。 今回の会議テーマ“Enrichment -key for successful animal management-”に沿って、すべての発表申込みについて専門委員会によって事前審査が行われ、口頭発表55件、ポスター発表51件、ビデオセッションが3件発表されました。 私は“Comparative studies on changing rope design in Tufted Capuchin Monkey’s Cage”というタイトルで"Noriko MIURA, Ryo KATO, Shiori MITUYA, Tsukasa UDA, Kazunari MASAKI & Shohei TAKEDA"の連名でポスター発表をしました。研究内容は、最終目的である環境エンリッチメントそのものの実施ではなく、エンリッチメントを実施する上で重要であるが確立されていない評価方法を確立させるための実験で、今後のエンリッチメントを計画・実施する上で、また実施後にその有効性を評価するための指標作りとしても非常に重要なものです。このような私たちの取り組みが示した画期性や研究としてのオリジナリティを評価していただいた結果、ポスター発表部門で表彰される3つの研究発表のうちで2番目によい銀賞をいただくことができました。 私たちの研究は、川崎市夢見ヶ崎動物公園と私たち比較心理学・武田研究室との共同研究であり、動物園の現場の方達との共同で行った試みが国際的に評価されたという点はすごくうれしいことです。このことは単に研究の素晴らしさということではなく、実学的な側面が認められたという意味で今後の研究の可能性の幅を広げる、とても意義があることだと思います。 今回、自分のテーマに沿った専門的な国際学会に参加・発表することができただけでなく、このような賞が与えられる研究に選ばれ、さらにこの学会で日本人が受賞したのは初めてのここと聞き、本当に光栄に思います。 |
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