「科学立国人材育成プログラム」、「ラボ・ボーダレス大学院教育の構築と展開」、「体系的博士農学教育の構築」の3件が採択  
文部科学省「大学院教育改革支援プログラム」  

 平成19年度文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」に、本学の「科学立国人材育成プログラム」、「ラボ・ボーダレス大学院教育の構築と展開」、「体系的博士農学教育の構築」の3件が採択されました。
 この大学院教育改革支援プログラムは、社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を育成する大学院博士課程、修士課程を対象として、優れた組織的・体系的な教育取組に対して重点的な支援を行うことにより、大学院教育の実質化を推進するものです。
  
■ 科学立国人材育成プログラム   〔工学府 (生命工学専攻・応用化学専攻・
電子情報工学専攻)〕
    近年、産業界で必要とする科学技術水準が著しく高度化しており、高い知識と技能を有しかつフレキシブルな思考とビジネスマインドを持つ博士を、産業界の即戦力として供給することが大学に求められています。
 本学ではこの命題に対し、独自の教育プログラム構築を目指して、教育・研究・管理組織改革ワーキングを学長室に置きました。数年に渡る議論の結果、本学の特徴である「基礎研究シーズと産業界ニーズのマッチングを基盤とした産学連携」を生かした自由で競争力のある本教育拠点の設置に至りました。高い外部評価に裏付けられた21世紀COE「ナノ未来材料」研究教育拠点の実績を継承しつつ、応用化学/電子情報工学/生命工学の三専攻から学長自らが選抜したアクティビティーの高い教員を推進者として集結させ、特別な経済支援(外部資金の還流)のもと本教育プログラムを推進し、「シーズ」を見出す高い研究能力とこれを「ニーズ」と結びつける広い視野を有する「産業界の即戦力となる博士の育成」を目指します。
  
  ※ プログラムの詳細は、こちらから
  
■ ラボ・ボーダレス大学院教育の構築と展開  〔生物システム応用科学府〕
    本学府は、農学と工学を融合した新しい先端科学である生物システム応用科学の創出を目指して、平成7年4月に設立された大学院教育を主とする独立研究科です。理学系、工学系、農学系からなる教員組織であることの特色をフルに生かして、本教育プログラムでは、特定の分野における知識・技能だけでなく、関連する分野の基礎的な素養を養うとともに、学際的な分野への対応能力を含めた専門的知識を活用・応用する能力を養うために、研究室の枠を超えた大学院教育を行います。すなわち、これまでの専門知識の講義以外のほとんどが研究室内で行われてきた閉ざされた大学院教育から、本専攻の学務委員会が中心となって全ての教員が組織的に行うラボ・ボーダレス大学院教育に転換し、社会に求められる高度な人材を養成できる教育プログラムを実施します。
 具体的には、以下の6項目を教育プログラムの柱としています。
(1) 関連する分野並びに異分野の基礎的な知識を幅広く身に付けさせるための講義「生物システム応用科学研究概論」(必修科目)を理学系、工学系、農学系の教員が担当し、また、教育内容を充実させるための教科書の作成、講義のeラーニング化などを行う。
(2) 自らの研究を安全に推進するためだけでなく、将来の職場における安全・危機管理に関する組織活動にも中心的存在として対応可能な素養を身に付けさせるために、「基礎技術演習T」(必修科目)で、専門分野、関連分野、異分野をも含む幅広い安全・危機管理に関する基礎知識を主として実践を通して習得させる。
(3) 関連分野並びに異分野の最先端の研究に直結した実験技術をも幅広く身に付けさせるために、「基礎技術演習U」(必修科目)をすべての研究室で少人数グループに分かれて博士後期課程学生(RA、TA)の指導補助のもとに実施する。
(4) 社会に求められている高度な人材に最も重要なコミュニケーション能力を身に付けさせるために、博士前期課程の学生に対しては「実践発表」(必修科目)で見やすいスライドを使ったプレゼンテーションの技術を身に付けさせ、さらに論理性に基づいた的確な質疑応答の能力を養う。
(5) 博士後期課程の学生に対しては「実践英語発表」で、国際的に通用する人材を育てるために、研究成果を第三者に正確に英語でプレゼンテーションできる技術を身に付けさせるために、複数の教員が語学教員(ネイティブスピーカー)、外国人教師の協力のもとに模擬国際会議を開催して指導する。
(6) 優れた英語論文を数多く発表した経験を持ち、既に退官した教員や研究者をPublication Technical Assistant Professor (PTAP:発表技術支援教授)として雇用(非常勤)して、学生に対するきめ細かな個別指導を行うことによって、国際的に評価される論文作成の能力の向上を図る 。
 
  ※ プログラムの詳細は、こちらから
  
■ 体系的博士農学教育の構築  〔連合農学研究科〕
     博士課程修了者の多くが高度に専門的な能力を有する一方で、他の専門領域との間のコミュニケーション能力、ゼロから新しいものを生み出す力、課題を完遂する力、実社会で活躍する上で期待されている基礎知識、基礎学問の修得状況などが十分でないとの指摘があります。このことを踏まえ、「体系的博士農学教育の構築」では、平成19年度より導入した単位制に基づくカリキュラムと連動させ、自立した研究者や高度技術者として必要な高度な専門的知識や実験手法を身につけさせるとともに、生命環境農学分野の幅広い視野を涵養するための体系的な教育プログラムを提案しました。具体的には、コースワークを重視する立場から、「研究科共通科目」、「研究科交流科目」、「専門分野科目」、「論文研究等科目」の4科目区分を設置し、講義科目、演習科目、論文研究科目をバランスよく配置しました。

<履修プロセスの概念図>
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