遠藤 章名誉教授 2006年マスリー賞を受賞

 遠藤章名誉教授(現 株式会社バイオファーム研究所所長)は2006年マスリー賞 (Massry Prize) を2006年11月に受賞されました。
 マスリー賞は、生物医学分野において顕著な業績をあげた科学者に、Meira and Shaul G. Massry Foundation(米国)から授与されるものです。本賞は1996年に創設され、今回が11回目の授与にあたります。その間、4回(計5人)の受賞者は、その後にノーベル賞(医学生理学賞4人、化学賞1人)を獲得しています。

 遠藤名誉教授の今回の受賞の理由は、コレステロール(先進国で主要な死因の一つであるアテローム性動脈硬化症、心臓発作や脳卒中などの危険因子)を下げる薬“スタチン”の発見と開発への貢献です。
 本賞の授与者であるShaul Massryは、遠藤名誉教授の業績を、「この仕事は近代医療の歴史の中のもっとも偉大な発見の一つであり、非常に多くの人の命を救っている。以前は、心臓病は老化の必然的な結果と考えられていたが、現在はスタチンによる治療のおかげで、心臓病はその進行を遅らせ、あるいは防ぐことができるようになった。これは、従来の概念を覆す大きな進歩であった。」と評価しています。
 
 1970年代初期に、遠藤名誉教授は何千もの微生物の培養液を調べて、体内でのコレステロールの合成をコントロールする酵素(HMG-CoA還元酵素)の働きを抑える化合物(当初ML-236Bあるいはコンパクチンと呼ばれた、現在のスタチンの原型)を発見しました。その後まもなく、この化合物がイヌなどの動物や人において血液中のコレステロールを低下させる作用をもつことを証明し、これら一連の発見により今日のスタチンの開発の礎を築きました。現在、世界中で3000万人もがスタチンを服用しています。これによりアテローム動脈硬化性の血管病の死亡率と罹患率が減少し続けています。
 

<授賞式にて:(右)遠藤名誉教授>
 
  
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