越田信義教授が米国Electrochemical Societyのフェロー称号を受賞

 本学大学院ナノ未来科学研究拠点の越田信義教授が、米国Electrochemical Society(電気化学会:ECS)の2006年秋季大会(10/10−11/3、2006、Cancun、Mexico)において、同学会フェローの表彰を受けました。
 
 同学会は1902年創設以来の歴史をもち、会員数は米国他75カ国の研究者7000名以上にのぼります。学会は電池、半導体デバイス、ナノ材料、発光材料および情報表示、センサ、材料プロセス、バイオ電気化学、表面処理など、広い分野に関する19の分科会からなり、北米、ヨーロッパ、アジア(日本、韓国)などに18支部がおかれています。毎年、米国または世界各地で開催される春季・秋季大会における各分科会のECS国際シンポジウムは、当該分野の代表的な国際発表の場として知られ、内外から多数の研究者が参加します。
 
 同学会のフェロー称号は1989年に制度化され、電気化学および固体材料科学における研究成果、リーダーとしての実績、同学会シンポジウムなどの企画実施活動での貢献を認められた会員に与えられます。選考は、学会分科会委員長経験者などの主要推薦者による申請書、および支持者2〜5名の推薦書に基づき、学会内のフェロー選考委員会が行います。これまで、例年10名程度が選考されてきました。
 
 同教授がフェロー表彰の対象になった主な事由は、量子サイズシリコンの科学と技術に関する先駆的研究です。身の回りのあらゆる電子機器やシステムの頭脳部分を支える半導体シリコン技術が超微細化によりますます高度化している中で、その先のナノメートル領域を追求する研究は学術的にますます重要になっています。国際的競合が強まる以前から、同教授は超微細化したシリコンにおいてはじめて現れる多様な量子的特性を見いだし、それらを素子に応用する研究を行ってきました。基礎研究と並行して、可視発光素子、弾道電子放出素子、超音波放出源などを相次いで開発し、ナノホトニクス、薄型平面ディスプレイ、スーパーソニックスなどの新しい技術分野をシリコンベースで開拓してきた同教授グループの研究活動は内外で注目されています。

 同学会において、同教授は各種国際シンポジウムのオーガナイザ、日本支部長(2002-2004)を務めたほか、関連機関との共同研究を進めるなど、関係分野の発展に寄与してきました。今回のフェロー表彰を機に、研究活動がさらに進展することが期待されます。 
   
  
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