◎ MOTシンポジウム「MOT人材がもたらすイノベーション」を開催

 12月18日(月)13:00〜17:00日経ホールにおいて、第2回MOTシンポジウムが開催されました。年末の多忙な時期にもかかわらず、約270名の方々の出席をいただきました。シンポジウムのタイトルは、昨年の「動き出した技術経営系専 門職大学院」から、今年は「MOT人材がもたらすイノベーション」とし、MOTの教育のあり方、今後に対する活発なディスカッションが行われました。
 基調講演、パネルディスカッション共に、参加いただいた方のアンケートでは8割以上の方が「良かった」「やや良かった」と評価していただいており、来年度も第3回シンポジウムを開催し、「日本型のMOT」を確立していきたい。
 
 
<シンポジウム概要> 
・基調講演 「本格研究と技術経営」
 産業総合研究所 吉川弘之理事長
・パネルディスカッション 
  モデレーター MOT協議会会長 東京農工大学教授    古川勇二
パネラー 日産自動車兜實長             伊佐山 建志
三菱電機鰹務執行役 開発本部長    久間和生
東成エレクトロビーム椛纒\取締役社長  上野 保
日本経済新聞社 編集委員         中村雅美
国際戦略デザイン研究所 代表       林 志行

<基調講演要旨>

 大学における基礎研究(第1種基礎研究)と企業における製品化を結びつける知の流れが必要で、新しい産学連携の道を作る必要がある。 両者の間に横たわるギャプ(悪夢:死の谷)を埋めることが、日本のイノベーションの鍵になる。そのためには、産業総合研究所で取り組んでいる本格研究(第二種基礎研究)を大学・公的研究機関に拡げことと、新しい人材(MOT,産業アーキテクト)が必要である。第1種基礎研究は新しい科学知識を創出するものであるが、第2種基礎研究は社会における新しい価値を創出する研究である。大学・公的研究機関における産業界での製品化の基礎となる研究で、連携は企業の研究所内大学型、大学内企業研究所型などの3次元的なものに拡がっていく。この新しいスキームによる研究成果を企業に橋渡ししていく人材(産業技術アーキテクト)が本格研究を推進し、その教育を担うのがMOTの重要な役割である。
 
<パネルディスカッションでの主な意見>
@日本は技術評価ができていない。また評価できるシンクタンクが少ない。
A科学技術基本計画では、IBNE(情報・バイオ・ナノ・環境)を中心に取り上げているが、網羅的に取り上げるのではなく、「ものづくり」の観点をもっと強調すべきである。
B日本は何が強いか?その技術は世界と比べて特色あるものとして生き残っていけるのかの観点が必要である。強みがわからないまま計画を作っている。これは国だけでなく個々の企業にも言える。
CMOTが社会に認知されるかどうかを心配することこそ、グルーバルなものの見方ができていない。国際的にはMOT人材が必要なことは当然のことで、もっと積極的に活躍するにはどうするかこそ議論すべきである。
 D技術イノベーションにおける大学と企業の役割のなかで、大学、特にMOTは社会還元にもっと軸足を置くべきである。企業は、従来のよな保険的付き合い型でなく、やる気のある先生と本音で付き合っていきたい。
E日本のものづくりに中小企業は大きな役割を果たしている。現実に困っているのは後継者育成で、MOTに期待する。
FMOTは画一的ではなく、それぞれが特色ある大学院を目指してほしい(ex自動車に強い、財務に強い)。
G企業は、トレーニングを受けた人材の受け皿があるのか?
  
    
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