本学卒業生の宮脇昭博士がブループラネット賞を受賞

 本学農学部の前身である東京高等農林学校生物学科の卒業生(S23年卒)で、国際生態学センター研究所長である宮脇昭博士が2006年度(第15回)「ブループラネット賞」を受賞されることになり、日本国籍を持つ初の受賞者となることが決定しました。

 「ブループラネット賞」は、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献した個人や組織に対して、その業績を称えて旭硝子財団から贈られる世界最大規模の地球環境国際賞です。
 第15回ブループラネット賞の表彰式と記念講演会は11月15日(水)と11月16日(木)にそれぞれ開催される予定です。

 宮脇昭博士は、自然の立地条件に最も適した土地本来の植生を意味する「潜在自然植生」という概念に基づいた森林回復・再生の理論を提唱する一方で、1980年から10余年をかけ、日本全国の大学の植物生態学系研究室の協力を得て、日本中の植生を調べ上げ「日本植生誌」全10巻を執筆、編纂・出版しました。これは現存植生図および潜在自然植生図を合わせて本文6000ページにも及ぶもので、日本における植生調査の集大成としてのみならず、地球規模で比較可能な植物群落単位の決定と、その総合的な植生大系は、世界の植生研究の基本資料として高い評価を得ています。

 さらに、国内海外あわせて1500ヶ所以上で現地植生調査に基づき再生の理論を実践することにより、国内では20〜30年で限りなく自然林に近い防災・環境保全林を再生すると共に、海外でも熱帯雨林の再生に成功するなど、具体的実績をもとに生態系の基盤である地球の緑環境回復の可能性と成果を提示したことが今回の受賞の理由となっています。
 
 宮脇昭博士は30数年前、当時まだ十分予測されていなかった地球規模の環境破壊、生物多様性など様々な環境問題に危機感を持ち、人類生存の基盤としての土地本来の森の重要性という今日的意義を掲げて、厳密な現地植生調査・研究と生態学的理論にもとづく「宮脇方式」といわれる土地本来の森林回復・再生法を確立し、国内外で実験兼本番の具体的成果をあげられています。
  
 
  
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