池袋一典 研究室 研究内容

アプタマーの開発およびバイオセンシングへの応用

近年、環境・食品・医療分野において、様々な物質を定量・検出する方法の開発が求められています。本研究室では、このような背景を元に、核酸リガンドであるアプタマーやDNA結合蛋白質などを用いたセンサーの開発を行っています。私たちは分子の特性に注目し、新たな機能を分子に付与することにより独自のセンサーの開発を行っています。競合技術を常に意識しながら、オリジナリティーを重視し、実用化を念頭においた研究を日々行なっています。

ジンクフィンガー蛋白質による病原性微生物検出システムと
DNAメチル化検出システム

ジンクフィンガー蛋白質は生体内で多く見られるDNA認識蛋白質で、9塩基程度の配列を特異的に認識することができます。私たちはDNAを指標に病原性微生物を検出する検査であるPolymerase Chain Reaction(PCR)法に、このジンクフィンガー蛋白質の認識を組み合わせた新規微生物検出システムを構築しています。PCR法は微生物のゲノムDNAの一部を増幅することにより見分ける方法ですが、まれに誤ったDNA配列が増幅されることがあります。そこでジンクフィンガー蛋白質を用いて増えた配列が正しいか否かをチェックします。これまでに大腸菌O157をはじめとした様々な病原性微生物を検出する事に成功しています。また、同様の原理を応用して、ヒトゲノムDNAのメチル化を検出するシステムを開発しており、発症前診断への応用を検討しています。

合成生物学ツールとしてのリボレギュレータの開発

バイオ燃料や有用物質を細菌等に生産させるアプローチは昔から行われてきましたが、最近では、生物を大幅に改変または最初から創り上げてしまう合成生物学的アプローチが注目されています。合成生物学では、ある宿主細胞に際し、新規の代謝経路や機能を付与することで、物質生産を行うための細胞を新たに創出することを目指しています。

新規の代謝経路や機能付与には、タンパク質の発現量をコントロールすることが重要であります。そこで我々はRNAに注目しています。RNAはタンパク質よりも比較的容易に設計を行うことが可能です。新規のRNA配列をmRNAに導入したり、その配列と相互作用するようなRNAを用いることで、タンパク質発現量をコントロールすることが出来ます。我々はシアノバクテリアを利用した物質生産システム”CyanobactoryTM”の構築を目指し、シアノバクテリア中で機能する機能性RNA (リボレギュレーターと呼ぶ)の構築を行なっています。

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