カ イ コ の 採 種 -ただし簡単法です-

蛹 期

1. 蛹は23〜25℃に保護する。20℃以下,30℃以上では産卵数の減少,不受精卵の多発がおこる。
2. 発蛾を調節する為に蛹を冷蔵する場合
・雌は化蛹5日目(眼着色,卵殻形成時期)以前に5℃に冷蔵する。1週間位は次代に影響がない。
・雄はいつ冷蔵してもほとんど影響がない。
3. 繭層の厚い系統は,発蛾しても繭から出れないので,繭切りをしておく。
4. 交雑種を作る場合,発蛾前に雌雄鑑別をしておく
(雌雄鑑別しておかないと同系統で交尾してしまう。)
5. 発蛾2日前から光周 (16L,8D)をかけておくと羽化がよく揃う。
逆にこの頃、夜、点灯したりすると羽化がばらつくので注意


採 卵(休眠卵の保護)  非休眠卵の保護はこちら

1. 蛾は朝方に羽化する。
2. 交雑形式に従って,雌蛾と雄蛾を交尾させる。A×BではA系統の雌蛾とB系統の雄蛾交尾させる。 
数を多く行なう場合,雄蛾をやや多めにするとよい。

3. 初交(1回目の交尾)は約1時間,2交以降は1時間以上交尾させる
 (交尾してから15〜30分位で射精が起きる)。
体内に精子が入ることによって産卵が促進される。
4. 交尾した雌雄を分ける(割愛)。雌雄を引っ張って分けるのではなく、雌雄を捩じるように分けると容易に分けられる。 割愛しないと延々と交尾し,蛾が疲労し,産卵が不良となる。

5. 交尾した雌蛾の腹を押し,蛾尿を出させる。 卵に蛾尿がついてもほとんど影響はないが,洗う手間や調査の邪魔になる。
6. 雌蛾を産卵台紙にのせる(浸酸する場合は塩酸処理に耐えられる紙に産卵させる)。
7. 雄蛾を再交尾に用いる場合,5℃に冷蔵しておくと生きて交尾する限りは何回でも交尾できる。
8. 雌蛾は交尾割愛後,室温暗所で約8時間に最も多く産卵する。
9. 一晩でほぼ産卵しおえる。
10. 即時浸酸をする(すぐ孵化させる)場合は割愛の翌日,卵を浸酸する。
冷蔵浸酸をする(50日以上先に孵化させる)場合は割愛の翌々日,卵を5℃に冷蔵する。
越年卵にする場合はそのまま産卵し終えるまで産卵させる。
例えば
春蚕期 に採卵した卵を 夏蚕期 に孵化させるには 即時浸酸
秋蚕期 に孵化させるには 冷蔵浸酸
来年の春期 に孵化させるには 越年保護
夏蚕期 に採卵した卵を 秋蚕期 に孵化させるには 即時浸酸
来年の春期 に孵化させるには 越年保護
秋蚕期 に採卵した卵を 来年の春期 に孵化させるには 越年保護

即時浸酸:すぐ孵化させる場合は割愛の翌日(産下1日),卵を浸酸する。
  15℃で比重1.075の塩酸で 46℃、5分浸漬
  または、15℃で比重1.110の塩酸で 液温24℃、60〜100分浸漬
                             27℃、60〜80分浸漬
                            29℃、40〜50分浸漬
  浸漬後、1〜3時間水洗。半日位、水に浸かっていても影響ない。
  水洗後、室温で乾燥
  孵化日を調節するために 浸酸した卵を再冷蔵する場合、浸酸後20時間に5℃に冷蔵

即時浸酸のやり方
羽化当日 1、2時間交尾した雌蛾を割愛後、蛾輪に入れ。
一晩産下させる。
羽化翌日 翌日、蛾輪を外し、蛾を外す。
卵はまだ着色していない状態
バットに産卵台紙ごと移す。
浸酸液(15℃で比重1.110の塩酸、2%ホルマリン入り)を入れ。
液温24℃、60〜100分浸漬
   27℃、60〜80分浸漬
   29℃、40〜50分浸漬
浸酸液を元の瓶に戻して
卵を水洗い
2,3時間水洗い。塩酸を除いて、乾燥させる。
羽化翌々日 1晩乾かす。
卵は着色が始まった状態
このまま25℃に保護すると10日後孵化。
孵化日を遅らせるには5℃に冷蔵


冷蔵浸酸:50日以上先に孵化させる場合は割愛の翌々日(産下2日),卵を5℃に冷蔵する。
  出庫後、25℃に2時間保護した後、15℃で比重1.100の塩酸で 48℃、5分浸漬
  浸漬後、1〜3時間水洗。半日位、水に浸かっていても影響ない。
  水洗後、室温で乾燥


  孵化日を調節するために再冷蔵する場合、浸酸後12時間以内、48〜110時間の間に15℃に6時間保護してから5℃に冷蔵する。12〜48時間の間に冷蔵すると漿液膜が破れる卵(白ハゼ卵)が多発することがある。

産卵台紙についた卵を浸酸する場合、2%程ホルマリンを混合する。ホルマリンが入っていないと卵が台紙から剥がれ落ちるので注意すること。または浸酸前に2%ホルマリン液に台紙を浸し、卵が台紙にくっ付いてから浸酸する。

浸酸液の作り方(こばやしver.)


越年にする場合はそのまま産卵し終えるまで産卵させる。
蚕種は風通しの良い、涼しい所に保護する(インキュベーターは乾燥するので向かない)。
12月末になったら2.5℃で保護(冷蔵中も乾燥しないようにビニール袋にいれておく)。
3月末に中間手入れ(15℃/3日位)し、胚子をstage16まで進めると良い。 そして再び冷蔵する。

                     
産下直後:卵は白色   産下1日:卵はまだ白色  産下2日:若干色がつく    数日経つと着色
                (即浸時)          (冷蔵浸酸の冷蔵時)     そのままで休眠




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