有害物質班

ダイオキシン・PCBの新規分解技術の開発

有害物質班は、PCB・ダイオキシンを扱っており、環境低負荷型の処理技術構築を目指し、燃焼を伴わないダイオキシン・PCB処理技術に関する研究を行っています。

研究例① ダイオキシン

ダイオキシンとは

ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)をまとめてダイオキシン類と呼んでいます。

図1にどんな形の化合物であるかを示しました。1~4と6~9の位置に塩素の付いたものがダイオキシンです。塩素の数や付く位置によっても形が変わるので、PCDDは75種類、PCDFは135種類もの仲間があります。

図 1  ダイオキシンの構造式

ダイオキシンの有害性

体重の減少、皮膚炎、肝臓障害、神経症、生殖毒性、免疫力の低下、発がん性、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用など、ダイオキシンの毒性は多岐にわたります。生殖毒性では、精子の減少、排卵の停止、子宮内膜症などで妊娠できなくなったり、流産や早産が起きます。生まれてくる子どもに奇形を生じさせる作用もあります。

ダイオキシン問題の現状

近年日本各地において、環境基準値を上回る濃度のダイオキシン類汚染土壌が発見され、これらの処理方法が問題となっています。近隣住民の健康を保護する為にも、適切な対策を採る事が求められており、浄化処理が急務となっています。

図 2 ダイオキシンが問題となっている地域

間接加熱法

浄化技術の一つとして間接加熱処理法が挙げられます。この方法は大量の土壌の処理が可能であり、すでに、飛灰や農薬由来のダイオキシン類汚染土壌の処理を行った実績があります。

図 3  間接加熱法

当研究室では

本研究室では、これまでに間接加熱処理法の適切な処理条件について検討を行ってきました。その結果、間接加熱処理法では600℃以上の高温が必要であることがわかりました。現在は、間接加熱処理法の研究から得た知見を元に、低コストな新規処理技術の開発を行っています。

研究例② PCB

PCBとは

Polychlorobiphenyl の略でビフェニルの水素が塩素で置換されたものの総称です。計算上209の異性体が存在し、実際の市販品からも100を超える異性体が存在します。

かつては「夢の化学物質」と言われ、かつて難燃性の熱媒体、電気絶縁油として世界中で生産、使用されていました。

図 4. PCBの構造式

PCBの有毒性

毒性、催奇性(皮膚障害や内臓障害、ホルモン異常など)があります。カネミ油症事件を契機としてその毒性が知られるようになりました。そのためPCBは保管が義務づけられ、様々な処理方法が開発されています。

カネミ油症事件
日本のある工場で熱媒体油として用いられていたPCBが米ぬか油(カネミライスオイル)に混入した事件。中毒の患者は1000人を越えました。

図 5 カネミ油症事件

当研究室では

当研究室では、低コスト・低環境負荷型の新規PCB処理技術の開発に力をいれています。これまでに、活性炭吸着や、メカノケミカル法、間接加熱法、オゾン分解法などによりPCBの無害化を実証してきました。

現在は水素化脱塩素法や、金属ナトリウムを用いた分解研究を行っております。