バイオ班
~微生物を利用した環境に優しい技術の開発~
バイオ班では、微生物の機能を最大限に活用することにより、食糧問題・環境問題の解決に向けたバイオプロセスの開発を目指しています。
また、これらの微生物群を制御可能なバイオ材料の開発(バイオフィルムの付着促進や形成抑制)も行っています。
バイオプロセス・バイオ材料の最適な設計には分子生物学・遺伝子工学・生化学的なアプローチによるミクロな現象の解明と同時に、微生物反応工学・移動現象といった化学工学的なアプローチによる俯瞰的な解析が重要なカギとなります。
私たちはこれらのアプローチを融合することで様々な研究テーマに取り組んできます。
バイオ班では効率的に排水を処理するバイオリアクターや,バイオフィルムと呼ばれる微生物の集まりに注目して研究を行っています。
バイオリアクター
バイオリアクターとは?
バイオリアクターとは、微生物の持つ酵素の働きを利用して、特定の物質の生成・分解などを行う装置です。多くの装置では酵素を生み出す微生物を担体に固定化し、そこに反応溶液を流して化学反応を行わせています。
化学反応を行う微生物は、装置内の温度・pH・圧力・基質濃度・酸素濃度・撹拌速度などを制御し、反応条件を一定に保つことで効率良く働かせることができます。
図 1. バイオリアクターの例
細見・寺田研究室では
排水中に含まれ、水質汚染の原因となる溶存窒素の除去や、生態に影響を及ぼす難分解性物質の分解を目的としたバイオリアクターを主に研究しています。
当研究室では従来よりも低コストで効率的な排水処理を目標とし、新規プロセスを用いたバイオリアクターを構築しています。
研究テーマ例
- 特定の硝化細菌を利用した亜硝酸化の効率化および亜酸化窒素放出削減
- 嫌気性アンモニア酸化(Anammox)細菌のスタートアップ短縮化
- バイオフィルムを利用した色素化合物の無害化
- 高圧噴射装置による活性汚泥からの汚泥減容化
バイオフィルム
バイオフィルムとは?
バイオフィルムとは、微生物が高密度に集合して形成される構造体です。自然界に広く存在し、エサとなる基質と水があれば、あらゆる場所に存在します。
身近な例としては、歯垢や台所のヌメリなどがあり、水中の石の表面についている膜状のものなどもバイオフィルムに当てはまります。
バイオフィルム内では嫌気性菌から好気性菌まで様々な種類の微生物が存在し、その中で様々な情報伝達を行いながらコミュニティを形成していると考えられています。
細見・寺田研究室では
バイオフィルム形成のメカニズムに迫り、バイオフィルム形成の制御を目的とした膜や担体の作成を目的としています。微生物を捕集し、バイオフィルムをより早く形成させるバイオリアクター用の担体や、逆に微生物を寄せ付けず、バイオフィルム形成を抑制するろ過用の膜などの研究を行っています。
研究テーマ例
- 高表面積に加工した担体による細菌付着能の評価
- 水和性膜による細菌の付着の抑制
- シグナル化合物分解酵素を用いたろ過膜によるバイオフィルム形成の抑制
- RO膜スペーサーへのバイオフィルム形成の抑制