東京農工大学ブルーベリー研究会



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研究会発足の趣旨


 東京農工大学とブルーベリーとの関係は古く,農林水産省によって導入されラビットアイブルーベリーを譲り受けた「日本のブルーベリーの父」といわれる故・岩垣駛夫(いわがき はやお)先生(元福島県園芸試験場長、元本学農学部教授)が、19643月に本学へ着任し、本学の果樹園で生産開発に関する研究(品種特性、受粉、結実、繁殖に関する基礎研究)を開始したところから始まる.その後、岩垣先生の教えを受け継いだ本学卒業生島村氏による経済栽培が始めて東京都小平市で行われ,また,卒業生による普及活動が行われ全国にブルーベリーが普及した.2008年の栽培面積は920ha,生産量は1872tであり,最近の10年間で,栽培面積で約600ha,生産量で1200t以上増えている.

 このように栽培面積や生産量が増大している一方で,栽培園地では植物体の黄化・枯死が見られ,充分な収量が得られていない状況もみられる.このような状況の中で,東京農工大学では経済産業省の補助金を受けて,ブルーベリーの高収量化,周年化などを目指し,2011年に先進植物工場研究施設を建設した.既に施設内で行われた研究の一部を発表しているが,学会における研究者だけでなく生産者,加工・流通業者にも広く情報を発信することで,わが国のブルーベリー産業の発展に一層貢献できると考え,東京農工大学ブルーベリー研究会を発足するに至った.

 ブルーベリーの品種の特性や栽培地域の環境を考慮して持続生産を行うためには,勘や経験だけでなく,品種の特性や植物の生理生態を理解した上で栽培を行うことが必要である.大学,試験研究機関で行われたブルーベリーに関する知見を公開し,また世界からも情報を収集し,それら情報を参加者と共有して,生産技術を高めていくことが,本研究会の趣旨である.

 したがって,研究会では,農工大最先端研究の紹介,植物の生理生態に関する学習,品種および環境の特性を生かした食味の良い栽培法や加工商品の提案,日本および世界におけるに品種情報,栽培技術,鮮度保持,流通技術,加工技術の紹介などを行う.

具体的には以下の事項を行う.

(1)農工大最先端研究の紹介

先進植物工場における研究成果発表(栽培からロボット化知能化まで)を行う.また,植物工場関係の企業にも研究会に参画してもらい,企業にも最先端の情報を提供してもらう.

(2)植物生理生態学の学習

勘や経験のみで栽培を行うのではなく,植物の生理生態,すなわち葉の光合成速度,根からの養分の吸収などのデーターを基盤とした栽培を行うための学習を行う.

(3)ブルーベリーの品種および環境特性を生かした食味良い栽培法や加工商品の提案

果実の品質は品種,栽培条件,技術によって異なるので,品種の個性や環境の違いを生かし栽培する方法や,収穫された品質の特性を生かした新たな食べ方や,ジャム,ケーキなどの新商品の提案を行う.

(4)世界の栽培技術および研究情報の収集とその発信

ブルーベリーは世界で栽培され,多くの品種が育成されている.日本だけでなく世界の情報を収集してその情報を公開することで,わが国の栽培技術の向上をはかる.また,海外視察を行う.