"エコラン"とは、如何に燃料を使わずに自動車を走らせるか、1リットルのガソリンでどれだけ自動車は走るのだろうかを追い求める燃費競技です。 省エネカーレースともよばれたりします。
  自動車といっても普段私たちの使っているような自動車ではなく、カヌーのような細長い車体を持つ手作りの自動車です。それぞれのチームで試行錯誤しながら、車体を作ったり、エンジンを改造したりすることにより、なんと1リットルのガソリンで4000kmも走ってしまうマシンもあります。
  それは私たちの生活では考えられないような、夢の世界がエコランなのです。
 エコランの他にもバッテリとモータを使ったエコノムーブ(EV)や、ソーラーカーなど自分たちで作った省エネカーを走らせる競技が日本だけでなく、世界各国で行われています。
  こうした大会を目指した、自動車エンジニアの卵たちがいっせいに集まる大会がエコノパワー燃費競技大会なのです。毎年500台近いマシンがツインリンクもてぎに集結し、燃費を競い合います。
エンジンフレーム足回りミッションカウルその他
エンジン
 エンジンはホンダのスーパーカブ50(セルつき)のエンジンを使います。エコラン用にホンダが用意しているエンジンを、ホンダのバイク屋で注文するところから、エコランのマシン作りが始まります。
  エンジン自体は10万円ほどで買うことが出来ます。ただし、このエンジンはエコラン以外には使用しないという制約があります。
フレーム
 フレームには鋼材を使います。チームによって材料が違いますが、ENELABでは鉄材を使っています。1メートルあたり100円程度の材料から、1メートルあたり数千円する高価な材料までありますが、ENELABでは1メートルあたり200円程度のものを12メートルくらい買い、それを切断・溶接を行いフレームを作っています。また、大学にある鋼材をもらったりして作っているので3000円程度になると思います。
足回り
  足回り(タイヤ・ホイール等)はエンジンの次にお金がかかっていいる部分です。基本的には自転車用のタイヤを3本使いますが、タイヤは燃費に直接関係する部分なのでここでは高くて高価な物を使いたいところです。
  後輪はロードレーサー用の上級モデルのハブ(自転車軸)に20インチのリム(ワッカ)を自転車専門店で組んでもらっています。前輪は、軸を片方のみで支える構造ですので、車椅子競技用のハブに20インチのリムで組んでもらいました。前後輪ともチューブはウレタンチューブを使い、タイヤはミシュランのエコラン用が主流ですがENELABではIRCのエコランタイヤを使っています。3本で6万円くらいになります。
ミッション
 ミッションは工業用ギアを作っている会社に特注しています。何種類かのギヤとチェーンを購入するので、全部で1万円から、2万円くらいかかります。
カウル
 カウルは思いのほかお金がかかります。塩ビ板などが高いためです。チームによっては、CFRPを使い、フレーム兼カウルというチームもありますが、その場合信じられないくらいのお金がかかります。ENELABは現在FRP化に挑戦中です。
その他
 そのほかには、スピードメーター、ブレーキ、ミラーなどがあります。ブレーキは自転車用の物を使います。チームによってはディスクブレーキを使っているところもあります。そういったものをあわせて1〜2万円かかると思われます。
 エコランマシン1台作るのに平均20万円かかるといわれています。上級チームになると、数百万円かかっているチームもありますが、その他の多くのチームは廃材を利用したり、ありあわせの材料を使ったりしてリサイクルとコストダウンに日夜努力しています。
  燃費では結果が出ていないチームもこういったところできちんとエコロジーに努力を注いでいるんです。