大学院 生物システム応用科学府 生態系型生産システム教育研究分野
農学部 地域生態システム学科 土壌生態管理学教育分野
藤川 碧 Aoto FUJIKAWA
北海道 HOKKAIDO
東京農工大学 BASE専攻 博士前期課程修了 2023年3月
持続可能なネコブセンチュウ防除~対線虫活性を示す天然物質の探索および次世代殺線虫剤の基盤研究~
For sustainable control of Root-knot nematodes ~Screening of natural substances having nematicidal activity or effect on enzyme activity and basic research on next-generation nematicides using biotechnology~
土壌中に生息するネコブセンチュウはナス科やウリ科などの植物の根に寄生し、植物の生育不良または枯死を招く。
農家は主に化学農薬を使用して防除を行う場合がある。一方、日本で多く使用されていた燻蒸剤は環境や人体への影響が大きいことから世界的に規制の動きが強まっており、
日本でも代替剤として非燻蒸型の殺線虫剤の使用が増加している。
現在、日本で承認されている非燻蒸剤を作用機序別でみるとアセチルコリンエステラーゼ阻害あるいはミトコンドリア複合体内のコハク酸デヒドロゲナーゼ阻害の二種のみである。
博士前期課程の研究では、今後より使用が増えていくと推定される上記二種の代表的な非燻蒸剤に対して大きく感受性を低下させたネコブセンチュウ個体群を発見した。
この個体群が生息する圃場では現在、燻蒸剤が使用されている一方で、非燻蒸剤は使用していない。
感受性個体群と比較したところ、感受性が低下した個体群では過剰発現している酵素があり、感受性低下要因の一つと特定した。
このままでは近未来に殺線虫剤抵抗性個体群が出現し、作物被害の増大が懸念される。
環境や人体に優しく持続可能な防除が可能な時代に沿った防除策が求められている。
日本分子生物学会(The Molecular Biology Society of Japan,
日本線虫学会(The Japanese Nematological Society)
2022年 日本線虫学会 (オンライン)
→fosthiazate剤に抵抗性をもつネコブセンチュウ個体群の抵抗性メカニズム探索
2023年 日本線虫学会(@東京)
→複数の殺線虫剤に感受性低下を示した Meloidogyne incognita 個体群の解毒酵素機能解析
Meloidogyne incognita, resistance, glutathione S-transferase, sustainable control, natural substances, peptide, RNA