進行波型超音波モータは、圧電素子(電荷を与えると伸び縮みする物質)に弾性金属を張り合わせたステータ(固定子)にロータ(回転子)を圧着させたもので構成されている。
モータを駆動させるには、ステータが超音波領域(20〜100kHz程度)で振動するように圧電素子に交流電圧を印加する。このとき位相が異なる2つの振動源を与えると波が重なり合いステータ表面に進行波(一定方向に進む波)が発生する。ステータ表面の一点に注目すると、その点は進行波とは逆向きに楕円運動をしている。ロータはステータに押し付けられているので楕円運動による摩擦力を受け、動くことができる(Fig.1)。
超音波モータの長所は、低速で高トルクが出せることや電源を切っても自己保持特性が保たれること、小型軽量、減速機不要、応答性が高いこと、磁界や電界の影響を受けないことなどである。このため、ロボット関節やMRIなどの高磁場下で使用される医療機器などに向いているといえる。
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