研究内容

植生 × 気象 × センシング

樹木の「濡れ」と
「揺れ」を科学する

雨や風に対する植物の応答を測り、森林の水循環、樹木の力学的安定性、土壌保全、防災機能へつなげます。

PEDALは、降水計測・森林降雨分配・雨滴物理と、植物バイオメカニクス・樹木力学を二つの研究軸とする研究室です。そこから土壌侵食・山地斜面へ研究を展開し、独自の環境センシングと測器開発によって、これまで捉えにくかった現象を明らかにします。

雨による樹木の濡れ、風による揺れ、環境計測を表す概念図
Research framework

PEDALの研究体系

二つの研究軸から地表・斜面へ展開し、その全体を独自の計測技術が支えます。

中核となる二つの研究軸
森林における降雨分配の概念図
RD Rainfall Dynamics

降水計測・森林降雨分配・雨滴物理

雨は、どこに、どのような滴として降り、樹冠を通ることでどう変わるのか。

山地を含む降水の時間・空間分布と、雨滴の大きさ、速度、衝撃を測ります。さらに、葉や枝への付着、飛沫、分裂、合流、樹幹流、蒸発を通じた森林内の雨水再配分を、一滴から森林スケールまでつなげて理解します。

主な対象:降水量、雨滴、樹冠遮断、樹冠通過雨、樹幹流、枝葉の濡れ

風を受けて樹木が揺れる概念図
PB Plant Biomechanics

植物バイオメカニクス・樹木力学

樹木は雨、風、雪を受けてどう変形し、揺れ、外力に適応するのか。

枝や幹のしなり、樹木の揺れ、力学特性を測定し、三次元樹形に基づく数値解析と結び付けます。雨水付着量の推定から、樹木の耐風性、防風林・海岸防災林の機能評価までを扱います。

主な対象:しなり、たわみ、樹木振動、力学特性、三次元樹形、耐風性

雨滴衝撃、浸透、地表流を伴う山地斜面の概念図
LP Land-surface Processes 展開領域

土壌侵食・地表面プロセス

樹冠を通過した雨は、林床と斜面をどのように変えるのか。

雨滴衝撃、林床被覆、表面流、土砂移動、土壌水分、斜面変位を連続したプロセスとして捉えます。RDとPBで得た知見を、森林の土壌保全機能や地すべり防災へ展開します。

複数の環境計測機器を結ぶセンシング基盤の概念図
ES Environmental Sensing 横断技術基盤

環境センシング・測器開発

既製品では測れない現象に対して、センサ、マイコン、IoT、GNSS、3Dプリンタ、画像・点群解析を組み合わせ、測定方法と観測機器そのものを開発します。測器開発はRD・PB・LPすべてを支え、新しい問いを検証可能にする研究活動です。

Current research

現在取り組んでいる研究

研究室として特に研究資源を投入している重点プロジェクトと、そこから広がる研究テーマを紹介します。

現在の重点プロジェクト

01
RDES

山地の雨と雪を多点で捉える

可搬型レーダー雨量計による山地降水観測

小型で持ち運びやすい可搬型レーダー雨量計を開発し、国内各地へ多点展開します。既存雨量計との比較、電源・通信の改良、品質管理と可視化を通じて、地形や風で変化する山地降水を高密度に捉えます。

02
RDLPES

雨の「強さ」を衝撃から測る

加速度式雨滴衝撃計の開発と多点観測

雨滴衝突時の振動を捉える小型センサを開発し、森林内外や人工降雨施設へ多点配置します。雨を水量だけでなく衝撃・エネルギーとして測り、土壌侵食評価や設備・緑地管理へ応用します。

03
RDPB

熱帯樹木の水はけの良さを調べる

枝葉における雨水の貯留・保持・排水

葉と枝を含むシュート全体への散水実験と熱帯林での調査を組み合わせます。枝葉の形、力学特性、撥水性が排水機能へ与える影響と、水はけの良さが病害回避や生存戦略に果たす役割を検証します。

04
LPES

地すべりの小さな動きを高密度に捉える

IoT–GNSSと土壌水分センサによるリアルタイム観測

小型観測機器を斜面へ多数配置し、変位と土壌水分をリアルタイムに測定します。降雨に応答して地すべりがいつ、どこから、どう動くかを明らかにし、予期しない斜面変動を減らす観測基盤へつなげます。

Research breadth

研究テーマの広がり

重点プロジェクト以外にも、異なる空間スケールと研究軸をつなぐ研究を進めています。

RD

一滴の雨から樹冠内の水の動きを調べる

枝葉への水滴衝突を高速度撮影し、付着、飛沫、移動、再滴下の過程を調べます。

RD

樹冠で生まれた雨滴を林床まで追跡する

森林内で高さ別に雨滴を測り、再衝突、分裂、合流、風、蒸発による変化を追います。

RDPB

豪雨時に樹木が蓄える雨水を測る

雨水付着による質量変化と樹木の揺れを結び付け、樹木貯水量の時間変化を推定します。

RDLP

森林内の雨滴と土壌侵食を同時に測る

雨滴、衝撃、表面流、流出土砂を同時観測し、樹冠と林床が侵食を制御する過程を明らかにします。

PBES

樹木の形と揺れを多点で測る

多点IMUとLiDARによる三次元樹形を統合し、実際の樹形を反映した振動解析を進めます。

PB

海岸防災林の防風機能をデジタルに再現する

海岸林の三次元構造と風観測・シミュレーションを結び付け、防風機能と管理の関係を調べます。

How we work

PEDALの研究の進め方

現場で起きる現象を起点に、実験、測器開発、解析を往復しながら、その仕組みを説明します。

  1. 01

    野外で測る

    森林、山地斜面、海岸防災林などで、発生時刻を選べない雨や風、斜面変動を長期・多地点で捉えます。

  2. 02

    室内で確かめる

    降雨、水滴、枝葉の姿勢、風速などを制御し、散水、高速度撮影、重量測定、力学試験から原因を調べます。

  3. 03

    必要な測器をつくる

    研究対象に合わせて、測器の構造、電子回路、記録、通信、解析までを一体的に設計します。

  4. 04

    データとモデルで説明する

    時系列、画像、動画、空間データ、三次元点群を、統計解析、物理モデル、機械学習、シミュレーションで読み解きます。

森林水文学、植物生理学、植物バイオメカニクス、土壌侵食、砂防、気象、工学、情報科学などの専門家と連携し、基礎現象の解明から観測技術の実用化、森林管理・防災への応用までをつなぎます。

Publications & outputs

研究成果・実績

研究の背景、方法、成果の詳細は、査読論文、学会発表、アウトリーチ活動の一覧から確認できます。

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