偶数、奇数の不平等
地下鉄銀座線(半蔵門線、大江戸線)の「青山一丁目」駅は、秩父宮ラグビー場や絵画館前の銀杏並木の最寄り駅の一つだが、港区にもお隣の渋谷区にも「青山」という町名はなく、駅の住所は東京メトロが南青山一丁目、東京都交通局のほうが北青山一丁目である。青山通り(国道246号線)と外苑東通りの交差点に駅は位置していて、交差点名が「青山一丁目」で、もともと走っていた路面電車の電停の名称を踏襲したとのことである。1938年の銀座線開通当初は、隣の「外苑前」は「青山四丁目」でスタートしたが、翌年には「外苑前」に改称されている。もう一つとなりの「表参道」はやや複雑で、「青山六丁目」で始まり翌年には「神宮前」と改称されたが、そのころは、もう少し渋谷寄りに駅があった。1972年の千代田線の開通と合わせて赤坂方面に移動し「表参道」に改称となった。開通後、1年も経たないうちに改称された理由はよくわからないが、似た名前の駅が3つ繋がって乗客が降りる駅を間違えることが頻発し、それを解消するためという話もある。そのような事情もあってか、現在の東京の地下鉄の駅には「○○(偶数)丁目」という名称がない。
2013年12月1日銀杏並木(旧国立競技場のファイナルを飾る早明戦の観戦前)
丸の内線の変遷(左上;1985年ごろ@茗荷谷、右上;2013年ごろ@同じく茗荷谷、下;2021年4月@赤坂見附、2019年2月から導入された新型車両(2000系)。定在波のような模様が復活した。ホームドアの設置が進んだことを反映して、模様が天井付近になった。ちなみに旧型車両には冷房がなかった。
さて化学の世界に持ち込んでみると、大きな顔をしているのはどちらかというと偶数である。
自然界で生産される脂肪酸の有名どころ(最も多いもの)は、飽和脂肪酸ではパルミチン 酸(C16)とステアリン酸(C18)であり、生合成のメカニズムから考えられるように原則、偶数炭素となる。本当に大雑把にいうと酢酸(C2)が結合してくことになるが、もう少し細かく示すと下記のように酢酸が脱炭酸しながらマロン酸(C3)と結合し、炭素数が偶数の飽和脂肪酸が生成していく。そういう意味では、スチレン(C8H8)をブチルリチウム(BuLi)で重合し、H+でクエンチした場合、重合度に関わらず炭素数は必ず偶数となる。
3-oxo基は還元されてアルコール(D体)となり、脱水、水素添加を経てブチリルACPへの成長し、さらにマロニルACPと連続的に反応することで、二炭素ずつ鎖長を伸ばしていくが、C16(or
C18)まで伸びるとC16ACP(or C18ACP)がC16CoA
(or C18CoA)に変換され、一段落となる(なぜ・・)。
最後の反応が止まるところといい有機化学的には謎に満ちていて・・。
最初は有機化学1でも出てくる、アルカンの融点であり、それらに派生したカルボン酸(α,ω-ジカルボン酸)、アルコール(α,ω-ジオール)の融点である。
高分子の世界でもメチレン炭素の数が異なる「ポリメチレンテレフタラート」の融点等が古くから報告されている(図は論文中のデータから作成)。
J. G. Smith, C. J. Kibler, B. J.
Sublett, J. Polym. Sci., Part A-1, Polymer Chemistry, 1966,
4 (7), 1851-1859,
https://doi.org/10.1002/pol.1966.150040719
最後に液晶の相転移の偶奇効果を示す(図は論文中のデータから作成)。結晶→ネマチック相、ネマチック相→等方相への転移温度ともに顕著な効果が観察されている。
J. W. Emsley , G. R. Luckhurst , G. N.
Shilstone, I. Sage, Molecular Crystals and Liquid Crystals, 1984,
102(8-9), 223-233, DOI: 10.1080/01406568408070532
おまけ (高校入試の問題です)
(1)分数1/998を小数で表したとき、小数第13位から小数第15位までと、小数第28位から小数第30位までの、3桁の数をそれぞれ書け。
(2)分数5/99997を小数で表したとき、小数点以下で0でない数が初めて5個以上並ぶのは、小数第何位からか。また、そこから0でない5個の数を順に書け。
解答例
(1) まずは普通に割り算すると・・
したがって、小数点13位から15位までの数字は016、小数点28位から30位までの数字は513となる。(2)の問題からこういう力技が要求されているわけでないことがわかる。
一見して3桁ごとに2倍ずつ増加する等比数列になっているように見える。20(1、小数点3桁)、21(=2、小数点6桁)、22(=4、小数点9桁)、23(=8、小数点12桁)、24(=16、小数点15桁)、25(=32、小数点18桁)、26(=64、小数点21桁)、27(=128、小数点24桁)、28(=256、小数点27桁)、29(=512、小数点30桁)、210(=1024、小数点33桁)・・・。というわけで下記のような足し算を考えると、小数点13位から15位までは016(=24)とわかり、小数点28位から30位は512(=29)となりそうだが、次の桁では1024(=210)の1の部分があるので、513となる。
0.001
0.000002
0.000000004
0.000000000008
0.000000000000016←
0.000000000000000032
0.000000000000000000064
0.000000000000000000000128
0.000000000000000000000000256
0.000000000000000000000000000512←
0.000000000000000000000000000001024
0.000000000000000000000000000000002048
0.000000000000000000000000000000000004096
大人は求める割り算の解(商)は次のようの等比数列の和と考えることができる・・・。
先ほどのように等比数列の各項の和を書いてみると下のようになり、0でない数字が初めて5つ並ぶのは小数点32位から始まる36451である(答)。
0.00005
0.0000000015
0.000000000000045
0.00000000000000000135
0.0000000000000000000000405
0.000000000000000000000000001215
0.00000000000000000000000000000003645
0.0000000000000000000000000000000000010935
0.000000000000000000000000000000000000000032805
おまけの追加
1/9998を小数で表すとき、小数第48位、小数第56位、小数第96位の数を求めなさい(名門中学の入試問題です。答えは順に、8,
3, 6)。